古典的な制限酵素、ligaseを使ってプラスミドベクターにインサートをクローニングする場合でも、セルフライゲーションを防ぐためにインサートを脱リン酸化しますね。それでも形質転換はできてプラスミドを増殖することができます。それとおんなじこと。
脱リン酸プラスミドにインサートをライゲーションすると、一方の鎖は共有結合で連結されますが、相補鎖側はリン酸基がないために連結できずnickが残ります。形質転換に必要なプラスミドコンストラクトは完全に共有結合で連結して環状化している必要はありません。一方の鎖にnickやgapがあっても、連続している相補鎖に対合すれば環状が保てます(open circular)。
これが生きた大腸菌に入れば、大腸菌の修復系や複製系がちゃんとnickやgapを埋めてさらにtopo2が螺旋を強めて、生理的なプラスミド(ccc)に仕上げてくれます。
in-fusionはligationの過程を含みません。末端に相補な一本鎖突出を作って水素結合で対合させているだけです。nickやgapがあるopen circularな中間体を大腸菌に入れて大腸菌に仕上げをしてもらっているのです。 |
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