まず発現の有無を確認しましょう。CBB 染色で見えるバンドがGST-fusion proteinである確証はないと思うので、当該タンパク質の抗体ががあればwestern blottingしてみてください。なければ抗GST抗体でwestern blottingしてください。それで対照群の細胞と比べてみましょう。サンプルはA)カラムにかける前のサンプルB) 大腸菌のペレットをSDS-lysis bufferで溶かしたもの(電気泳動するには短時間超音波処理してDNAの剪断が必要)の両方を用意してください
ケース1:A,Bとも検出できない場合→もともと発現していない。あるいは、発現しても不安定で細胞内で分解されている。
ケース2:Aでは検出できない、しかしBでは検出できる→発現しているが難溶性で現在使用しているlysis bufferでは抽出できていない。→いったん、8M尿素とか6Mグアニジン塩酸塩のような透析除去可能なタンパク質変性剤で大腸菌を溶解して難溶性タンパク質を含む全タンパク質を抽出し、透析などで時間をかけてゆっくり変性剤を除きながらタンパク質のリフォールディングを行う。(この辺りは封入体形成などの対処法として昔からいろいろノウハウがあるので調べてみてください。発現誘導の際の条件を改変することでうまくいく場合もあるようです。)
ケース3:AでもBでも検出できているのに、精製できない。→立体障害などでGSTとカラム担体のグルタチオンとがうまく結合できない。→タグをGST以外のものに変えてみる。
→GSTカラムが劣化している。→買い直す
もともとないものをあると思って追いかけて時間と体力を浪費しないために、遠回りに見えてもstep by stepでそれぞれの段階で確認しながら進めたほうがいいです。 |
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