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大きなゲノムサイズのサンプルでのサザンブロティング
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No.812-TOPIC - 2011/08/22 (月) 21:54:40 - tany
いつも勉強させていただいております.
私は修士2年の学生です.
私たちの研究室ではゲムサイズの大きなユリ科の植物(おそらく1.2×10^11 bp程度)を扱っています.
今回,形質転換体における導入遺伝子のコピー数を調査するためサザンブロッティングを行いたいと思っています.
実際に何度か行ってみたのですが,バンドが全く現れませんでした.
条件をかなり甘くして,バックグラウンドが出る事を覚悟で行ってもみたのですが,バックグラウンドが強くなっただけでバンドは現れませんでした.
同じプローブ,同じ条件で別の植物サンプル(ゲノムサイズ9.5×10^8 bp程度)を用いた場合にはバンドがきれいに得られました.
この事からおそらくゲノムサイズが大きいためサザンブロッティングがうまくいっていないのではと考えました.
サザンブロッティングは以下のように行っています.
・仕様キット:RocheのDIGシステムによるキットを用いています.
・template DNA量: 10-20 ug(基本は10ugで行っていますが倍量にしてもダメでした)
・プローブ:PCRラべリング法により作成
ターゲット:HPT(ハイグロマイシン耐性遺伝子)
プローブ長:664bp
変性時間,プローブ量,洗浄などの各ハイブリ条件については検討してみましたが,解決には至りませんでした.
また別サンプルでうまくいっているため,条件に問題があるとは思えません.
同程度の長さのgene specificなプローブを用いてもみましたが,変化はありませんでした.
先輩方に話を聞いてみると,過去にも何度かチャレンジした事はあるそうなのですが,このサンプルではうまくいった事がないそうです.
このようにゲノムサイズの大きな植物に対してサザンブロティングを行う場合のコツ等ありましたらご教示ください.
よろしくお願いいたします.
同じユリ科植物を用いたDIGシステムによるサザンブロティングに成功している論文(結果はあまりきれいではないですが・・・)では,15ugのtemplate DNAと1.2kbのプローブを用いていました.
長いプローブを用いれば,ハイブリするDIGの相対量が増えるので感度は上がりそうですが,倍の長さにするくらいで劇的な変化が得られるものなのでしょうか?
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(無題)
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No.812-19 - 2011/08/25 (木) 15:02:17 - tany
>AP様
AP様がおっしゃるようにバックグラウンドを下げる試みは必要に感じます.
EtOH pptを行い,どのくらいバックグラウンドが下がるのかは見てみたいと思います.
(無題)
削除/引用
No.812-18 - 2011/08/24 (水) 23:34:38 - AP
他の方も書いているように、露光時間の延長、基質濃度を上げる、温度を上げるなど、検出の段階で感度を稼ぐ方法もあるんですが、同時にバックグラウンドも上げてしまい、S/Nが低くなり結局バンドが見えないということになりがちです。
シグナルはシグモイドカーブ状に強くなり、ある程度以上は頭打ちになってわずかずつしか強くならないのに対し、バックグラウンドは線形でコンスタントに上がっていく傾向があるようです。ある程度以上押しても、バックグラウンドがシグナルに追いついていくように進むので、シグナル強度とS/Nの両方を満足させる塩梅が肝心だと思っています。
シグナル強度がもともと低くS/Nが大きく取れない場合のアドバイスとしては、ゲルろ過やEtOH pptでプローブの精製を行って、フリーの標識を取り除いて使用することです。少しでもバックグラウンドを下げてS/Nが良くなるように働きます。DIGシステム初期のマニュアルでは精製は必須となっていましたが、最近のものでは、やらないのがデフォルトで精製は特に必要な時だけのオプションになっているようですけれど。
(無題)
削除/引用
No.812-17 - 2011/08/24 (水) 19:16:30 - tany
>むう様
>~様
以前に検出反応を長時間(20時間くらい?)行った事があるのですが,そうしますとバックグラウンドでメンブレンが全面染まってしまいました.
検出反応の時間については様子を見ながら行っていますので,おそらく最大限反応させているかと思います.
>>S/Nに直結する抗原抗体反応の操作、反応後の洗浄の操作がマニュアル通りだとやや甘いようです。うろ憶えですが、ノニオン界面活性剤・ブロック液の少量添加、塩強度、洗浄の回数などを検討しました。
キットは最適化されているものとして実験を行っていましたが,指摘されたような点についても検討しなければならないのですね.
皆様,ありがとうございます.勉強になります.
(無題)
削除/引用
No.812-16 - 2011/08/24 (水) 13:51:22 - ~
正攻法ではなく荒業ですが、
化学発光であれば、24〜48時間くらいは反応が続きます。
15分露光してバンドが全く見えなくても、100倍の1500分(25時間)露光させれば見えるかもしれません。
また、X線フィルムを高感度のものにすることでも検出できるようになるかもしれません。
(無題)
削除/引用
No.812-15 - 2011/08/24 (水) 12:37:01 - むう
>温度に関しては気にせずに室温(25℃程度)で行っていましたが,ここを変えることでかなり変化が見られるのでしょうか?
APの反応速度が温度依存的です。冬場は37℃インキュベータでCDPstar発光を行っていました。ただし単純に反応速度が上がるのでバックも高くなります。
S/Nに直結する抗原抗体反応の操作、反応後の洗浄の操作がマニュアル通りだとやや甘いようです。うろ憶えですが、ノニオン界面活性剤・ブロック液の少量添加、塩強度、洗浄の回数などを検討しました。
(無題)
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No.812-14 - 2011/08/23 (火) 20:10:18 - tany
>>AP様
ドットブロットによる検出限界の検定は行ってみようと思います.
またAP様のおっしゃるランダムプライム標識はかなり有効である様に思います.
ぜひ試してみようと思います!
いろいろとご指摘ありがとうございます!
(無題)
削除/引用
No.812-13 - 2011/08/23 (火) 16:49:10 - AP
DIGで一番結果が振れやすく、感度不足で失敗するポイントはプローブ標識の出来です。マニュアルに従ってドットブロットでチェックし、プローブ重量あたりでどのくらい微量まで検出できるかを求めてみましょう。このように標的分子数が限られていて検出が難しいことがわかっている場合は、ドットブロットでpg〜sub-pgくらいまで検出できるものができていないと無理です(しばしば10 pgあるいはそれ以上が限界の場合がある)。
先にも書きましたが、PCRラベルは、耐熱性polのDIG-dUTP利用効率が良くないので、DIG-dUTPを多くするとプローブが完全に伸び切らない断片になってしまったり、増幅効率が悪くて収量が悪くなったりします。DIG PCR probe label kitにはDIG-dUTPの比率を低めて反応が進むようにするための非標識dNTPが付いているはずですね。ちなみに、DIG-dUTP:dTTP=1:20というDIG DNA PCRlabeling kitは本来プローブ作成用ではなく、産物を直接(例えばEtBrで染める代わりに)検出するためのものです。ほぼすべての鋳型で完全長の産物が障害なく増幅する濃度が1/20というわけです。
ここがPCRラベルの問題ですが、伸張性が悪くて完全長のプローブが得られないとか、収量が悪いというのも感度や特異性を落とす原因になるかもしれないけれど、反応が進みやすくしようと標識を薄めるとその分、非活性が落ちることです。プローブが変わるごとにうまい落とし所は変わってきますね。質問者さんの場合も、DIGの濃度は濃いのを使ったからといって安心できないかも。
その点、ランダムプライム標識は、標識dNTPに強いKlenowで反応するため鋳型が変わってもコンスタントに標識できるので、おすすめしています。
(無題)
削除/引用
No.812-12 - 2011/08/23 (火) 16:00:59 - tany
>>DIG様
調べたところ,私の用いているPCR DIGラべリングキットではdTTP:DIG-11-dUTP=2:1と始めからかなり高濃度でした.
この部分を改善する事でうまくいくかもと思いましたが,残念です.
情報ありがとうございました.
(無題)
削除/引用
No.812-11 - 2011/08/23 (火) 14:42:43 - DIG
私の使用していたDIG labeling kitは標識されているdUTPの割合は1/20でした。
検出出来なかったため、個別にDIG labeled dUTPを購入し、1/2の割合になるようにしてラベルしたら検出出来たことがあります。
(無題)
削除/引用
No.812-10 - 2011/08/23 (火) 13:57:08 - tany
>>AP様
細かく推察していただきありがとうございます.
確かにそのように試算しますと非常に難しいように感じます.
しかし成功している論文もあり,どのように考えるべきなのか難しいですね・・・.
論文と比べると大きな違いはプローブ長くらいしか見当たらないのですが・・・.
(無題)
削除/引用
No.812-9 - 2011/08/23 (火) 12:51:35 - AP
>ちなみにプローブの長さと検出感度は相対するのでしょうか?
末端標識のようにプローブ長にかかわらず、1分子あたりの標識数が固定されているのとちがって、内部標識(DNA合成酵素で標識モノヌクレオチドを取り込む方式)なら、プローブ長が長くなるほど1プローブ分子あたりの標識数は当然増えて、1分子あたりの比活性が上がります(重量あたりの比活性は基本的に変わらない)。ただし、同じ標識効率で、非活性を二桁上げようと思ったら、プローブサイズを二桁長くすることになりますが。実際、FISHで染色体上の1コピー配列を検出するときは数百キロ程度のプローブ(BACクローンなど)が使われます。
ちょっとした、試算をしてみましょう。
うまく行ったDIGプローブなら1 pg位までの検出感度はあります。
1 kb (6.6 x 10^5 Da)のプローブが1 pgだと1.5 amolです。したがって標的分子数(ゲノムDNAのコピー数)が少なくとも1.5 amolは必要であるということになります(100%の標的が有効にハイブリするわけではないので、実際はそれ以上)。
10^11 bp (6.6 x 10^13 Da)のゲノムが1.5 amolで100 ug、つまりすべてが理想的にいったとして少なくともこれだけロードする必要があるということです。
仮に、プローブ長が10 kb(6.6 X10^6 Da)だとしたら、検出限界の1 pgは0.15 amol、10^11 bpの標的ゲノム0.15 amolは10 ugに相当します。
(無題)
削除/引用
No.812-8 - 2011/08/23 (火) 12:41:41 - tany
≫むう様
>DIGシステムでは作業後半の免疫ブロッティングが結構重要だったと記憶しています。抗原抗体反応、発色・発光反応の温度、時間も検討してみては。
今までマニュアルにその部分の条件検討については記載がなかったため,免疫ブロッティングの細かい条件検討はしていませんでした.
反応時間に関しては,必要十分に反応させた事がありますがバックグラウンドが高くなるばかりでバンドは現れませんでした.
温度に関しては気にせずに室温(25℃程度)で行っていましたが,ここを変えることでかなり変化が見られるのでしょうか?
(無題)
削除/引用
No.812-7 - 2011/08/23 (火) 12:31:10 - tany
>>~様
>ドットブロットとして、制限酵素処理したゲノムDNAを電気泳動せずにメンブレンにスポットして、その状態でハイブリした場合に、
スポット状にシグナルは検出されるのでしょうか?
以前に非制限酵素処理のゲノムDNAでドットブロットした事があるのですが,Max 5 ugでシグナルは検出されませんでした.
(この時はうまくいかない原因をtemplate量と思っていなかったため,DNA量は少なめで行っていました・・・.)
一度多量の制限酵素処理したゲノムDNAを用いてドットブロットしても良いかと思います.
ただ100 ugで検出できたとしても,実際のサザンブロッティングにそれほどの量のDNAをローディングするのは難しいのですよね・・・.
(無題)
削除/引用
No.812-6 - 2011/08/23 (火) 12:30:01 - むう
DIGシステムでは作業後半の免疫ブロッティングが結構重要だったと記憶しています。抗原抗体反応、発色・発光反応の温度、時間も検討してみては。T社のCanGetSignalなども手段の一つかと。
(無題)
削除/引用
No.812-5 - 2011/08/23 (火) 09:25:36 - ~
非特異も出ていないようですね。
ドットブロットとして、制限酵素処理したゲノムDNAを電気泳動せずにメンブレンにスポットして、その状態でハイブリした場合に、
スポット状にシグナルは検出されるのでしょうか?
スポットする量を1スポット当たり1ug, 10ug, 100ug (とその上?)と段階的に振れば、どのくらいのDNAをローディングすれば検出できるのかの目安に出来るのではないでしょうか。
(そんな高濃度でやったことが無いので、ハイブリがうまく行かずに失敗するかもしれませんが)
(無題)
削除/引用
No.812-4 - 2011/08/22 (月) 22:57:12 - tany
>>AP様
AP様のおっしゃるように,私もおそらくゲノムサイズが巨大なため,現在のtemplate量では検出感度以下になっている可能性が高いと考えています.
以前に非DIGラベルのプローブ断片をポジコンにして希釈系列を作成し,どの程度の検出感度があるかを計算しましたが,必要と思われる感度にはまったく及ばない事が分かりました.
かといってtemlateをmgオーダーでロードする事は非現実的ですので,検出感度を上げていかなければと思います.
>それと、PCRベースのラベリングはプローブの非活性が低くなりがちです。ランダムプライムラベルに変えてみると感度が上がるかもしれません。
この点は考えていませんでした.検討してみたいと思います.
ちなみにプローブの長さと検出感度は相対するのでしょうか?
>ちなみに、ゲノムサイズ10^9 bp程度の哺乳類(ヒト、マウスなど)でも、最小1 ugもあれば検出できるレベルだっはずです。10 ug乗せないと検出できないとしたら、いろいろな原因で損失があって、検出系の性能を十分に引き出せていないのかもしれません。
原因の一つとしてこれはあると思います.
条件に関してはかなり検討したつもりだったのですが,もう一度見直してみます.
ありがとうございました.
(無題)
削除/引用
No.812-3 - 2011/08/22 (月) 22:18:18 - AP
ちなみに、ゲノムサイズ10^9 bp程度の哺乳類(ヒト、マウスなど)でも、最小1 ugもあれば検出できるレベルだっはずです。10 ug乗せないと検出できないとしたら、いろいろな原因で損失があって、検出系の性能を十分に引き出せていないのかもしれません。
(無題)
削除/引用
No.812-2 - 2011/08/22 (月) 22:07:51 - AP
ゲノムサイズが約2桁大きいということは、同じ量のDNAをロードしたとして、分子数(コピー数)は2桁少ないということですよね。ロード量を2倍にしたところで分子数は1/50です。果たして、それでも検出できる系でしょうか。
例えば、うまくいっているゲノムサイズ9.5×10^8 bp程度のサンプルを1/50量(0.2 ug)ロードして、今の系で検出できるでしょうか。
DIG(RIもですが)最適条件でsub-pg オーダーまでの検出感度があります。
計算上、標的分子数すべてにプローブがハイブリしたとして、使用しているプローブ長でそのコピー数の重量が検出限界を超えているでしょうか。
それと、PCRベースのラベリングはプローブの非活性が低くなりがちです。ランダムプライムラベルに変えてみると感度が上がるかもしれません。
大きなゲノムサイズのサンプルでのサザンブロティング
削除/引用
No.812-1 - 2011/08/22 (月) 21:54:40 - tany
いつも勉強させていただいております.
私は修士2年の学生です.
私たちの研究室ではゲムサイズの大きなユリ科の植物(おそらく1.2×10^11 bp程度)を扱っています.
今回,形質転換体における導入遺伝子のコピー数を調査するためサザンブロッティングを行いたいと思っています.
実際に何度か行ってみたのですが,バンドが全く現れませんでした.
条件をかなり甘くして,バックグラウンドが出る事を覚悟で行ってもみたのですが,バックグラウンドが強くなっただけでバンドは現れませんでした.
同じプローブ,同じ条件で別の植物サンプル(ゲノムサイズ9.5×10^8 bp程度)を用いた場合にはバンドがきれいに得られました.
この事からおそらくゲノムサイズが大きいためサザンブロッティングがうまくいっていないのではと考えました.
サザンブロッティングは以下のように行っています.
・仕様キット:RocheのDIGシステムによるキットを用いています.
・template DNA量: 10-20 ug(基本は10ugで行っていますが倍量にしてもダメでした)
・プローブ:PCRラべリング法により作成
ターゲット:HPT(ハイグロマイシン耐性遺伝子)
プローブ長:664bp
変性時間,プローブ量,洗浄などの各ハイブリ条件については検討してみましたが,解決には至りませんでした.
また別サンプルでうまくいっているため,条件に問題があるとは思えません.
同程度の長さのgene specificなプローブを用いてもみましたが,変化はありませんでした.
先輩方に話を聞いてみると,過去にも何度かチャレンジした事はあるそうなのですが,このサンプルではうまくいった事がないそうです.
このようにゲノムサイズの大きな植物に対してサザンブロティングを行う場合のコツ等ありましたらご教示ください.
よろしくお願いいたします.
同じユリ科植物を用いたDIGシステムによるサザンブロティングに成功している論文(結果はあまりきれいではないですが・・・)では,15ugのtemplate DNAと1.2kbのプローブを用いていました.
長いプローブを用いれば,ハイブリするDIGの相対量が増えるので感度は上がりそうですが,倍の長さにするくらいで劇的な変化が得られるものなのでしょうか?
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