短い断片が増幅されることから、プライマーがミスアニーリングをインサート内で起こしている可能性があります。インサート前のゲル抽出PCR産物とベクターのみをPCRすれば、何が起きているか分かるでしょう。
私はコロニーPCR用にはベクターのプライマーを使います。またコロニー内に存在するDNAseの不活化を変性剤条件化で95Cで行い、その一部をPCRしています。こうするとセルフライゲーションも含め、ほぼすべてのコロニーでバンドが出ます。またインサート事にプライマーが変わらないので、条件設定が比較的楽です(サイズに合わせた伸張時間の変化位です。)極端なGC-rich出ない限りDNAseの不活化の段階でDNAの変性が起きると思われるので、たいていの場合応用が可能です。内部のプライマーでは分からないことが多い重複インサートもはっきり検出できます。
またトランスフォーメーションが終わりプレートにまく直前に軽く遠心してLBで洗います。これでコロニーPCR擬陽性をほぼ消すことができました。それが面倒であれば、コロニーが生えた後、別のプレートに植え継いで生えてきたコロニーをPCRしても良いです。急ぐときには、大腸菌をまく前にLBで洗い、コロニーをチップで植え継いだ後、そのチップをDNA不活化溶液で洗っています。
上記の手法が面倒であれば、コロニーPCRに使うコロニーの量をできる限り少なくしてください。それだけで大分効率は変わるはずです。
DNAseの不活化はBiotechnic Vol29, No1(2000)p38-42を参考にしています。
+Aの効率はPrimer5'の配列に影響を受けます。元文献を忘れてしまっているのでバイオ実験イラストレイテッド”本当に増えるPCR”63ページのコラムを参考にしています。5'末端がT>G>C>Aの順で+Aがつくそうです。
私は実際は、プライマー作成時にこの事を忘れてしまう事が多く、配列にかかわらずdATP+精製PCR産物+Taq+PCR bufferで72C反応を行い直ちにTAライゲーションに進んでますが、今まで問題ありませんでした。定量的でない実験なので、この方法が万全かどうかは不明で、できれば5'末端配列にも気を使ったほうがいいと思います。 |
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