レトロウイルスで遺伝子導入した場合に、導入した遺伝子の発現が抑制されるという話は結構聞きます。
原因としては、ゲノムの位置効果、レトロウイルスのLTRのメチル化によるサイレンシングなどが考えられます。クローニングしていないということなので、ゲノム上の様々な位置に導入された集団となっていると思いますが、レトロウイルスのLTRで遺伝子を転写させている場合、プロモーターのメチル化はゲノム上の位置に依存せずに起こるので、発現が抑制される可能性があります。
サイレンシングの起こりやすさも細胞によって異なり、胚性由来の細胞だとその効果は顕著らしいです。
それを回避するために、LTRの内部に独立した転写単位を入れて導入すると抑制効果が弱くなったということを経験しています。
あと、薬剤耐性株であっても目的遺伝子を発現していない場合もある(自分がpMXs-IBで導入した場合、薬剤耐性でも6割発現していない場合があった)ので少しでも増殖に影響が場合は、継代を長期間続けると発現していない集団が優位になることもあります。 |
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