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レンチウィルスについて トピック削除
No.373-TOPIC - 2011/05/09 (月) 04:44:28 - レンチ
いつも勉強させてもらっています。
レンチウィルスについて質問させて下さい。

某企業からレンチウィルスベクターを購入し、遺伝子のknock downを試みました。
HEK293に上記のウィルスベクターと3種のパッケージングプラスミドをtransfectionし、得られたウィルスを濃縮した後、細胞に投与しました。
Puromycin( 2μg/ml)でセレクションした結果、ウィルスを投与していない細胞は24hで全滅したのに対し、投与した細胞はdose dependentに生存していました。(ウィルスのtiterは測っておりません。)
実験中、濃縮後に得られたペレットの色が透明〜半透明と薄かったことが気になりました。
その後ウェスタンで確認してみましたが思うようなdown regulationは得られず、実験手技の検討を行っている段階です。
ウィルスは濃縮後すぐに使用できればよかったのですが、投与する細胞の状態が思わしくなかったので一度凍結させて使用しました。本人としては、ウィルスの力価が低すぎたためにpuromycinでselectionはできたものの、目的とする効果が得られなかったのではないかと想像しているのですが、そのようなことは普通に起こるものなのでしょうか?
それ以外に考えられる原因やトラブルシューティングに行ったらいいと思う提案がありましたら御教示願えたら幸いです。(今のところ、titerを測定することや同じ方法でGFPを導入してみることを考えています。)
重ねて、HEK293と293FTに関して使用するパッケージングプラスミドに違いがあるのかどうか知っている方がいましたら教えて下さい。よろしくお願い致します。
 
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ありがとうございます。 削除/引用
No.373-13 - 2011/05/24 (火) 06:17:50 - レンチ
U様

御助言ありがとうございます。

2.ウィルスの濃縮には市販されていたPet-it Virus Precipitation Solution を使用しました。遠心後に薄く半透明(透明〜白)のペレットが得られたのですが、以前聞いた話ではもっとはっきりしたペレットが得られると伺っていたので、これで良いのかと不安になっておりました。

4.非常に参考になります。これが一番知りたい点でした。ご指摘の通り、市販のpLKOshRNA を使用しました。
Multicopy のクローンを得ないと十分なknock down が得られないことがあるのですね。
実は今回投稿後、比較的高濃度のウィルスを投与した株に、2 microgram/mlから4 microgram/ml にpuromycin の濃度を上げて数日培養したところ、目的とするタンパクのknockdown が得られました。<市販で購入したベクターは5種類(異なる設計)で、そのうちの1つが高い効果を示していました。>
最初のトライでうまくいかなかったのは、異なるウィルスの濃度で処理した細胞をミックスしてしまったからなのかと思っていましたが、今思えば 1 copy のクローンがかなりの率を占めていて、そのため思うような knockdown が得られなかったのではないかと思います。
結果的には運良く解決したわけですが、後学のためにGFP 発現を試みて、どのような intensity が得られるか実験してみようと思っています。

5.この点も非常に勉強になります。実は今回、入手したプロトコールに沿って実験を進めたのですが、私の手違いで293FTの代わりにHEK293 を使用してしまいました。(プロトコールは293FTを使用することが前提で書かれていました。)
これがどれくらい実験に影響するのかがわからなかったため、投稿時に記載させていただいた次第です。U様のご指摘の通り、今回は293T(あるいは293FT)を用いるべきで、そうすればより高Titerのウィルスが得られ、実験も最初からうまくいったのではないかと反省しております。

今回はどのようにトラブルシューティングを進めたらいいか非常に悩んでいたのですが、貴重な御助言を多くいただき本当に助かりました。次回同じ実験をする際にもこの知識が生きてくると思います。また何か気づいた点がありましたら、御教示いただければ幸いです。

(無題) 削除/引用
No.373-12 - 2011/05/22 (日) 15:26:33 - U
かなり遅いですが、何点かコメントさせて下さい。

1.Puro selectionについてですが、コントロールが完全に死滅している条件下で生き残っていれば大丈夫です。ウイルス感染については、生存している細胞当たり少なくとも1copyは入っているということですね。

2.濃縮後に得られたペレットの色の記載があるのですが、これはウイルス上清の濃縮時の事でしょうか? もしそうなら、どのようなメソッドで濃縮しましたか?単純な超遠心の場合はウイルスのペレットははっきりしないと思います。(PEGあるいは市販の濃縮キットを用いた場合はペレットが見られます。)

3.凍結溶解は多少titerを下げますが、完全に力価を失ってしまう事はないと思います。titer測定して用いる場合は一時凍結は必要です。

4.市販のpre-made lentiviral shRNA(おそらくレンチさんはSigmaのpLKOshRNAを使われたのではと思いますが)を私自身使った事はないのですが、自分でデザインしたlentiviral shRNAでの経験上、1copyではknockdownがあまりかからず、multicopyでintegrateしているクローンでのみ有意なknockdownが見られる事がよくありました。よって、puro耐性だけどknockdownがかからない事は十分あり得ます。レンチさんのケースでは、multicopyでintegrateするよう、かなり高いMOI(500-1000以上)で感染する必要があるように思います。MOIをコントロールするにはtiterの測定が必要で、titer測定にはGFPベクターの方が使いやすいと思います。レンチさんもおっしゃられているように、GFP intensityを指標にmulticopyで感染している細胞を選別する事も比較的容易なので、GFPベクターへの移行はいいアイデアです。どなたかがおっしゃってたように、puroの濃度を上げるとmulticopyで入っている細胞が濃縮できるかもしれませんが、2microgram/mlはすでに比較的高濃度ですので、どこまで上げられるか私には分かりません。

5.(HEK)293は、Adenovirusで形質転換したヒト胎児腎臓細胞で、(HEK)293Tは293をSV40 T-antigenで更にtransformした細胞です。おそらく293FTというのは293のsubcloneをT-antigenでtransformした細胞と推測します。SV40 early promoter/enhancer配列を組み込んだプラスミドをトランスフェクションした場合、その発現はT-antigenで増幅されるため、T-antigenを持つ293T細胞に入れたほうがより高い発現が見られます。確か、pLKOはSV40 early promoter/enhancer配列を持っていると思うので、293よりも293T(あるいは293FT)細胞にトランスフェクトした方が、より高titerのウイルス上清を得られると思います。レンチさんが使っているパッケージング細胞が、293Tではなく293なのであれば、293Tを用いた方が良いと思います。

ありがとうございます。 削除/引用
No.373-11 - 2011/05/10 (火) 08:08:38 - レンチ
モモ様
御助言ありがとうございます。
selectionに関しては、コントロールの細胞が死滅すれば良いのかと思っていたのですがそうでもないのですね。感染効率は私も気になっていた点で、今回の実験がうまくいかなかった理由として最も疑われるポイントだと思っています。
puroは2μg/mlでも増えてはいたのですが、増殖が遅い印象はありました。
対象とする細胞はグリオーマや乳癌の細胞で、HEK293はウィルス産生が目的なのですが、293は3週間かけてselectionするのですね。
感染効率が悪いとknock downが得られないのも当然なので、selectionの長さや濃度にもっと配慮したいと思います。

(無題) 削除/引用
No.373-10 - 2011/05/10 (火) 07:09:14 - モモ
あ、実験したい細胞は293ではないのでしたね。
もっと感染効率の低い細胞ならより長いセレクションが必要になりますね。
はじめから96穴にまいてシングルクローンを取りに行くのも手ですね。

セレクション 削除/引用
No.373-9 - 2011/05/10 (火) 03:39:22 - モモ
私の印象としては、セレクションの期間が短すぎる感じです。
293であれば3週間のセレクションで効果が見れると思います。
Puroの濃度は高すぎる印象ですが、まあ細胞が3週間増えてくれるのならそれでもいいのかもしれません。

competent cell 削除/引用
No.373-8 - 2011/05/10 (火) 01:56:28 - レンチ
~様
御助言ありがとうございます。
competent cell はXL10-Gold Ultracompetent cell(Stratagene)を使用しました。ラボにこれしかなかったというのが理由ですが、目的に対して高価過ぎるような気がしていました。記載していただいた2点は、効率が良さそうですし、比較的安価なので次回購入を検討したいと思います。
今回のように実際に使用した経験を教えていただけると、本当に助かります。

(無題) 削除/引用
No.373-7 - 2011/05/09 (月) 13:13:34 - ~
>Bプラスミドを他の大腸菌にtransformation。
大腸菌名が書かれていないのが少し心配ですが、
ベクターのサイズに問題が無ければ、このステップに問題はないのでしょう。

ちなみに私はStblシリーズや、SuReなどで増やしていました。

ありがとうございます。 削除/引用
No.373-6 - 2011/05/09 (月) 12:24:52 - レンチ
~様
貴重な御助言、本当にありがとうございます。

より高濃度のpuromycinで、という案は思いつきませんでした。今回は投与するウィルスの濃度をx1、x1/2、x1/4、x1/8とふって、コントロールにはウィルスを投与しない細胞を置き、puromycinは一律2μg/mlを投与しました。その濃度でコントロールは一晩で全滅、ウィルスを投与した細胞は高濃度のものから60%、40%、20%、5%くらい生き残っておりました。一応同濃度のpuromycinで三日間keepした後、x1、x1/2、x1/4の細胞をmixして今回の検討に用いました。(Mixはボスの指示でしたが、若干嫌な予感がしたのでx1の細胞だけ一部freeze stockして残しています。)
ウィルス自体はまだ余っていますし、上記のstockした細胞も残っているので、少し高い濃度のpuromycin処理も試してみたいと思います。

ベクターのデリーションは盲点でした。経験が豊富ではないので誤った処理をしているかもしれません。以下に簡単に流れを書きます。
ちなみに購入したのはベクターを持つ大腸菌でした。
@LBプレートに少量塗ってsingle colonyをpick up。(抗生剤はampicillin)
Amini prepの後、プラスミドを制限酵素処理、ベクター、インサートのサイズを確認。
Bプラスミドを他の大腸菌にtransformation。
Cmaxi prepし、プラスミドを大量に回収。一部制限酵素処理してベクター、インサートのサイズを確認。
この過程が必須かどうかというのは少し疑問に思ったのですが、maxiの後に回収したプラスミドもサイズに関しては問題なかったようです。

最後に御指摘いただいた点に関しては、GFPの発現ベクターを隣接するラボから頂くことができましたので、これからまさにトライしようと検討していたところです。うまくいけばGFPの蛍光強度が指標になりそうです。
方向性を確認することができ、本当に良かったです。また何か気がついた点がありましたら、御教示の程よろしくお願い致します。

(無題) 削除/引用
No.373-5 - 2011/05/09 (月) 10:37:04 - ~
1種類買って放り込んでダメだった、という結果かと思っていました。
きちんと5種類試していたのですね。

ところで、ピューロマイシンでセレクションしたどの細胞で発現量を見たのでしょうか?
ウイルスの力価が低くても、より高い濃度でセレクションすれば、ピューロのカセットがたくさん入っている株を得ることが出来ます。その株はshRNA発現のカセットもたくさん入っていることが期待できるでしょう。

また、少し気になるのは、どの状態のベクターを買って、トランスフェクションにまで持ち込んだのでしょうか。
レンチウイルスベクターはデリーションしやすいので、もしあまりケアしないで自分で増やしたのであれば、削れているかもしれません。
(ピューロのカセットが生き残っているのでその点は問題ないと思いますが)

私なら、メーカーに効果が無いと問い合わせつつ、shRNA発現のユニットの配列を読んで、ついでにコントロールとしてGFPあたりを入れようとしてみるかと思います。
(GFP発現ベクターは売っているので、余裕があれば買ってもいいのでしょうけれども)
はまりそうであれば、shRNA発現用のempty vectorを買って、自分でインサートを設計して作るかもしれません。

ありがとうございます。 削除/引用
No.373-4 - 2011/05/09 (月) 09:56:59 - レンチ
~様
ありがとうございます。
まずは記載が不十分で申し訳ありませんでした。pLKO vector (shRNA)です。
根拠は・・・ありません。(御指摘を受け、汗が吹き出しました。)
mRNAのアンチセンスは奏功したのですが、標的とするものが違いますし根拠にはなりませんよね。
御指摘の通り、ポジコンを置いて再度トライしてみようと思います。

nnn様
ありがとうございます。
記載漏れ、失礼致しました。上記の通りshRNAです。
もう一点書いておくべきだったのですが、この購入したpLKO vectorは5つセット(異なる設計)でした。
それら全てが効果なしだったうえ、他社からはウィルスそのものが販売されていてそれも試したのですが、
どれもpuromycinを使ったselectionまではうまくいくものの、タンパクやmRNAレベルでは変化がありませんでした。標的とする細胞も3種ほど試しましたがどれも同じ結果だったので、根本的に戦略を練り直す必要があると思った次第です。
おっしゃる通り、まずはknock down効率を確かめるのが大事ですね。まずはポジコンを置き、それでもダメならトランジェントに発現させて検討したいと思います。

お二方、本当にありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.373-3 - 2011/05/09 (月) 08:49:49 - nnn
>某企業からレンチウィルスベクターを購入し、遺伝子のknock downを試みました。

shRNAを発現するということでしょうか?

私でしたらウイルスベクターの問題以前に、
使ったshRNAのノックダウン効率が低いのではと考えます。

今の各社のアルゴリズムですと、
1つのターゲット遺伝子に、例えばshRNAが5個設計されているとすると、
1個は良く効く、2個はまあまあ効果がある、2個は効果無し
という感じがします。

一度、簡単に遺伝子導入できる細胞に、トランスフェクションしてみて
(場合によっては、ターゲット遺伝子をトランジェントに発現させて)
shRNAのノックダウン効率を確かめられてはいかがでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.373-2 - 2011/05/09 (月) 08:41:21 - ~
そもそも、そのshRNA(?)で、目的の細胞株でノックダウンできると考えている根拠はあるのでしょうか?
ポジコンとしてノックダウンできることが分かっているものを置いていないようですので、何か実績のあるものを一緒において評価されてはいかがでしょうか。

レンチウィルスについて 削除/引用
No.373-1 - 2011/05/09 (月) 04:44:28 - レンチ
いつも勉強させてもらっています。
レンチウィルスについて質問させて下さい。

某企業からレンチウィルスベクターを購入し、遺伝子のknock downを試みました。
HEK293に上記のウィルスベクターと3種のパッケージングプラスミドをtransfectionし、得られたウィルスを濃縮した後、細胞に投与しました。
Puromycin( 2μg/ml)でセレクションした結果、ウィルスを投与していない細胞は24hで全滅したのに対し、投与した細胞はdose dependentに生存していました。(ウィルスのtiterは測っておりません。)
実験中、濃縮後に得られたペレットの色が透明〜半透明と薄かったことが気になりました。
その後ウェスタンで確認してみましたが思うようなdown regulationは得られず、実験手技の検討を行っている段階です。
ウィルスは濃縮後すぐに使用できればよかったのですが、投与する細胞の状態が思わしくなかったので一度凍結させて使用しました。本人としては、ウィルスの力価が低すぎたためにpuromycinでselectionはできたものの、目的とする効果が得られなかったのではないかと想像しているのですが、そのようなことは普通に起こるものなのでしょうか?
それ以外に考えられる原因やトラブルシューティングに行ったらいいと思う提案がありましたら御教示願えたら幸いです。(今のところ、titerを測定することや同じ方法でGFPを導入してみることを考えています。)
重ねて、HEK293と293FTに関して使用するパッケージングプラスミドに違いがあるのかどうか知っている方がいましたら教えて下さい。よろしくお願い致します。

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