重合した分が排除されることで、有効なインサートが減って損するのではないかと危惧しました。
先に書いた方法は、ゲノムライブラリーを作るときなどに使われてきた方法です。Klenowで3'陥没末端を埋めて平滑化する要領で、加えるdNTPを制限することで、突出を一部残します。
たとえば、
NNN
NNNAT-5'
を
NNNT
NNNAT-5'
とするように。
ふつう制限酵素消化末端は相補になるので(例ではAT-5'に対して5'-TA)、ligationによって重合起こりますが、こうすることで防ぐことができます(T-5'に対して5'-Tで対合しない)。それに相補の突出(A-5')を持つベクターを用いれば、ベクター同士のligationも起こらず、ベクターとインサートが1:1でligationするというのが原理です。
しかし本当にGTあるいはTGの突出末端なら対合しないのでその心配はないわけですが(制限酵素消化で対合しない末端しか生じない状況は思いつかないですが)。
以上、長々書きましたが、TaqとdNTPsで5'突出末端を処理すれば陥没を埋めた上、一塩基のA-3'突出ができますから、もっと簡単に目的を達することができますね。Taqを使ったPCR産物ではligationによる重合や、blunt-end ligationはほとんど起こらないのに、T-ベクターには良く入りますから、効率はかなり高いと思います。 |
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