あまり頻度は高くないですが、時たま別の名前で議論に参加させてもらっているものです。かなり狭い領域の話をしたこともあるので、今回は別名にさせていただきます。
774さんは今までもこのフォーラムにコメントをなさっていたと思うので、博士課程、あるいはポスドクの方ではないかと想像します。
> 後学のため気持ちの整理の仕方を含めてアドバイスをお願いできましたら幸いです。
役には立たないでしょうが、私の経験を書かせていただきます。もう20年近く前になりますが、私はNature, Scienceを書かれたラボに感化されて、その研究をしたいと思うようになり、修士取得後勤めていた会社を退職し、近いことをしている大学研究室の博士課程に進学しました。当時は“外様”扱いがあり実に苦労しましたが、修了後、念願のラボに留学をはたしました。しかし、行ってすぐにわかったことが、あこがれのデータは間違ったアッセイ系によるものであること、しかしボスは信じて疑わないこと、ポスドクはそれについて語りたがらないこと、など絶望的な状態でした。それでも、なんとか「それがそれでも正しかった」と示そうと、3年半頑張りました。そうこうしているうちに、とある有名機関のラボから、ものすごく理想的なデータをだした論文が出ました。こうなったら、すべて丸く収まる的な・・・。教えを請うつまりでいろいろメールしていたところ、先方の好意により、研究員に加えてもらえることになりました。ところが、移動してわかったことが、ここのデータも再現性が取れないこと。思えばすでに再現が取れないと反証論文が有名雑誌に出ていました。前任者(すでに転出)に聞いても、「そうになですよ〜、あれはなかなかいい結果がでなくて、一回しかうまくいかなかったんですよ〜」みたいな。もう絶望です。結局、そこそこの期間頑張った後、辞めることになりましたが、その時に近隣ラボのボスが「同情するよ」的なメールをくれたことことがより私を悲しくさせました。
それからさらに6-7年アカデミックに寄生しましたが、考えていたことはいかにしたら真実を明らかにできるかということでした。どちらもラボもツールが正しくなかった、あるいはいい加減であった、ということから、アッセイ系作りを心のメインテーマにしました。これは諸々の事情により困難なことが予想され、実際非常に大変でした。アッセイ系を作り上げたときには、最後のラボに来てから3年が経過しており、ボスから生産的でないとクビを宣告されていました。この時このフォーラムで相談をしたりしました。
ただ、運がいいことに、時代が進み、PLoS ONEという、しがらみを受けにくいオンラインジャーナルが出てきたことにより、私個人の想い20年の集大成ともいえる論文を2報出すことができました。ボスが受け入れられるように穏やかに書いてますが・・・論文である以上、これからこの分野を研究者たちは無視できないはずです。最後の最後に一紙を無繰ることができたと思っています。
さらに幸運なことに、学会で私のアッセイ系を評価してくださる方が少ないながらも高確率でおられました。ポスターには大御所先生は来てくださいませんでしたが、若い方やベンチャーの方とか。今は、そこで出会えたアメリカのバイオ系の会社に勤めています。
現日本の状況をか考えると、無難にやりこなすだけでは生き残れないように思います。774さんも、非常に苦しい状態だと察します。ならば、せめてなにが本当か明らかにしようとするのも一つの生き方だと思います。ただ、テーマに思い入れがないなら、逃げるのもまたやり方かもしれません。 |
|