毎回興味深く勉強させていただいております。
興味ある遺伝子に蛍光標識(例. GFP)を付けた遺伝子改変マウスを作製するにあたり、種々の方法が考えられます。遺伝子ターゲティング法に基づきノックインマウスを作製する場合、BAC recombineering等を用いてターゲティングベクターを作製しますが、その場合遺伝子の第一exon内の開始コドン以下をGFP配列(+薬剤耐性遺伝子カセットなど)で置換することがよく行われます。その後相同組換え→薬剤によるESクローンの選抜→Blastocyst injection→キメラマウス誕生と進んでいきますが、この方法ですと"ノックインノックアウト"になってしまう可能性を完全には排除できないと思います。一方、レンチウイルスベクター上で遺伝子のプロモーター・エンハンサー領域をGFP配列(+薬剤耐性遺伝子カセットなど)とつなげたものを作り、このレンチウイルスをES細胞に感染させて得られたポジティブクローン(トランスジェニックES細胞)をBlastocyst injectionしてキメラマウスを得るというやり方も可能と思われます。後者の方法ですとトランスジェニックですので、ノックアウトにはならないように思えますが、染色体のどこに組み込まれるかによって蛍光発現の個体差は当然生じますし、内因性プロモーターとの間で干渉が起きる可能性も否定できません。挙げた二つの方法は、Blastocyst injection以降は同じやり方となりますが、果たしてどちらの方がより自然に近い蛍光標識ができる可能性が高いか、経験豊富な皆様にご教授いただけますと幸いです(私は前者のやり方でしか作製したことがありません)。
なお、トランスジェニックですと、受精卵前核にDNA断片を直接マイクロインジェクションする方法の方が普通ですし、レトロ(レンチ)ウイルスを受精卵に感染させる方法もありますが、それらと前述の二つの方法との比較でも結構ですので、御指導いただけますと幸いです。 |
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