こんなストーリーを考えてみました。
サンプルバッファー、濃縮ゲルのTris-Cl bufferでは陰イオンがCl-。解離度が高いので100%イオン化していて、いっせいに陽極に移動する。泳動バッファーからゲルに流入してくる陰イオンはグリシンで、サンプルバッファー・濃縮ゲルの弱酸性条件(pH6.8)では電離が制限されてゆっくり移動し、濃縮ゲルと分離ゲルの境界でCl-のエッジに追いつき、pHがアルカリ性(pH 8.8)になるまで自由に移動できない。Cl-のエッジとグリシンのフロントラインとの間で、SDS化されたタンパク質が濃縮される。
このとき、サンプルバッファーに電離度が中庸の陰イオンであるリン酸基があると、グリシンのフロントラインと、Cl-のエッジのあいだに挟まって、両者がぴったり近接するのを妨げるので、サンプルタンパク質がシャープに濃縮されない。 |
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