おそらく、その先生は株化細胞の事と、初代培養細胞の分裂寿命と、クローン羊のドーリーの話(体細胞のテロメアのカウンターがリセットするとかしないとかよく雑誌で出てたのでそれが記憶のどこかにあったのでしょう)が頭の中でいっしょくたになって整理がつかない状態でお話ししているとおもいますからこれは真剣に考えなくてもいいと思います。
初代培養のように分裂限界のある細胞だと細胞老化に伴い性質は明らかに変化していくので集団としての分裂回数(PDL)はとても重要ですが、株化した細胞ではPDLそれ自身の生物学的意義はあまりないように思います。実際その細胞あなたが手にするまでどのように何回継代されてきたか、だれも分からないのだし、何回継続代したものを使いましたと書いても、他のラボでそれと同じ時期の細胞を用意する事は出来ないともうので。たしかに継代をずっと繰り返しているとヘテロになってきて、増殖の速い細胞の性質が集団を代表するようになったり、細胞質分裂が出来ず巨大化した細胞が現れたり、形態が変化してきたりすることはあるので、そういう傾向が出ていないうちに、あまり継代しないうちに使ったほうがいいと思いますし、そのような傾向がでてきたら捨てた方がいいと思います。またできれば人から分与されたものでなくて細胞バンクから買ったものを使った方がいいと思います。(HeLa細胞株の細胞形態がラボによって、扱っている人によって違うということは培養細胞を使った研究を批判的に見る人が昔からしばしば例に挙げます。) |
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