すいません。脱灰処理したものからRNAとったことないのでいい加減なこといっているかもしれません。
RNA laterは売っているものをそのまま使います。これに脱灰に使用する程度のEDTAを加えたもので脱灰が出来ればとりあえずはOKなはずですね。このあと何らかの方法で包埋することになりますが、RNA laterは飽和硫安なので、凝固点が極めて低く、クライオだとかなりの低温にしてもケーキのような柔らかい感じになりとても薄切できるような感じはしません。また薄切できたとしても溶けるとねちゃねちゃしてLCMできそうな感じではとてもありません。
RNA laterを洗浄してから凍結包埋すればこの点は解消されますが、RNA laterを洗浄するときにそれまで眠っていた内因性RNaseが起きてしまってRNAが分解する可能性が極めて高いと思われます。これについては経験済みで、RNA laterで処理した組織をPBSや70%アルコールで洗浄してからTRIZOLでRNA抽出した時は無惨なほどにRNAが分解していたのに洗浄せずにそのままTRIZOLで抽出したときはほとんど分解がありませんでした。ですのでRNA laterで処理したばあい、洗浄せずにRNA抽出のプロセスに移行しなくてはならないのです。
また固定してパラフィン包埋に持ち込むのもよいとは思いますが、PFAだと塩基とタンパクが架橋してしまうのでLCMのあとで抽出する際に必ずProKの処理が必要です。また塩基自体も修飾されてしまうのでcDNA合成がかなり悪くなります。これについては論文(Nucleic Acids Res. 1999 Nov 15;27(22):4436-43)があって脱修飾の方法まで記載されていますが、脱修飾しても完全に元に戻るわけではないようです。
また過去にAMEX包埋という方法が報告されており、RNAや抗原性の保持が良いとされていますが、実のところはそれほど良くありません。
ああでもないこうでもないと書きましたが、結局のところ、
1. 通常の脱灰手順では内因性RNaseによる分解が懸念され、RNA laterを使えばうまくいくかも知れない。
2. 脱灰がうまくいってもその後の包埋が問題である。
3. PFAを使うとRNAの修飾が起こるためにcDNA合成効率が悪くなる。
ということでかなりの難問であると思います。脱灰がうまくいくかと、うまくいった場合はそこででまずRNAのクオリティを検証してみてください。そのあとはパラフィンしかないですかねぇ。
RNA laterの詳しい組成については過去のトピックで見たことがあります。私は前のボスがRNA laterを成分分析に出した結果を教えてもらって知っているだけです。
いっそのとこ脱灰せずにやってみることは出来ませんか?たとえば粘着フィルムにてマウスの全身をそのまま薄切すると言う方法を聞いたことがあります。
むかしファインテックがこんなセミナーしていたみたいですよ。
http://www.lsrc.u-toyama.ac.jp/sic/semi/technical/ws01-1.html
長文失礼しました。 |
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