以前に低コピー数でのPCRの話題が出ていたので、
定量PCRの場合に当てはめてみると、
低発現量のmRNAでは、かなりのばらつきが出ることがわかります。
例えば、1サンプルあたり10ng程度のcDNAをPCRに用いる場合、
mRNA由来のcDNAが1ng程度で、
mRNAが10000種類発現している場合、平均100fgがテンプレートになります。
しかし、mRNAの発現量に最大1000倍程度の差がある場合には、
最低発現量を示す遺伝子では、0.1fg程度しかテンプレートがありません。
これは200コピー程度です。
この場合、ピペットで10ng分のcDNAをはかりとったときに、
きちんと200コピー分の目的遺伝子が入っていなければ、
再現性のある結果が得られません。
ですから、ピペッティング前に十分にボルテックスにかけるなどして
溶液の均質化を常に行わないと、ピペットではかりとった体積が正確でも
PCRの再現性が得られないことになります。
また、運悪くボルテックス時に損傷して増幅不可能になるテンプレートも
あるかもしれませんが、塩濃度の高いPCRバッファー中で
スピンダウンした場合にテンプレートが沈澱してしまう可能性
などと比べると、結果の再現性に与える影響は低いと思います。 |
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