動物細胞の選択マーカーとしては、非導入細胞がすぐに死ぬほうが選択が楽です。
そのため、私の選択は以下の順になり、対応ベクターがない場合は自作しています。
(一回作れば研究室で使い回しできるので....。)
(1)puromycin (0.5〜2ug/mL, 通常1ug/mL)、死滅するまで2-3日
(2)blastcidin S(5〜20ug/mL, 通常10ug/mL)、死滅するまで3-4日
(3)hygromycin (100〜500ug/mL, 200-250ug/mLの細胞が多い)、死滅するまで3-6日
できるだけ避けたい(と思っている)のがG418とZeocinです。
Zeocinに関してA431細胞にはmanual最高濃度でも効かなかったので、お使いの細胞で事前に試すことをお薦めします。よく効けば選択肢に入ると思います。
FACSソーターが使えるならGFPも選択肢になります。
私は目的タンパク発現細胞を確実に選択するため、IRESも多用しています。
また、クローニング効果を避けるため、最近はレンチウィルスベクターを用いて50クローン以上の集団(バルク)でアッセイするようにしています。
これらは、経験的に手間が比較的かからず短期間で(安定した)結果が得られるので採用しています。
参考までに(学生のときに)安定発現細胞の作製で経験したことは...
-複数クローンを単離して(苦労して時間をかけて)増やして調べたら発現していなかった。
-発現したクローンが得られたら、親株と形態が変わっていた。
-なぜか、薬剤耐性度が落ちてきて死滅した、等々。
上記のことは、手技が悪かっただけかもしれません。
さらに、導入する遺伝子の機能にもよりますが、安定発現細胞の性質が親株と大きく変わることが「たまに」あるので注意してください。この意味は、導入細胞の表現型が、親株+導入遺伝子の機能+@になるということです。導入細胞の選択方法(極端に細胞密度が低い状態で培養するなど)によっては「(もともと集団に存在していた)アポトーシスに耐性に強い」細胞を優先的に選択してしまった可能性もあります。導入した遺伝子(構成:エンハンサーなど)の導入部位による効果もあるでしょう。
この場合は、親株の内在遺伝子の機能をsiRNAなどで減弱させて導入効果と逆の結果が得られれば良いでしょう。
思い出しましたが、G418耐性を与えるneo-R遺伝子は導入細胞の脂質組成に影響するという論文を見たことがあります。
以上、気がついたことを書きましたが、遺伝子導入細胞は一過性発現系にはない長所も多く、優れた結果が得られますので、実験をがんばってください |
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