たしかに他のタグではだめでもGST-fusionで可溶性になる場合もあるようですが、あくまでも経験的な事柄ですよね。個人的な意見ですが、下にもHis-tagさんが書かれているチオレドキシン(Trx)-fusionの方が期待できると思います。一つの理由は、Trx自身が組換えタンパク質のS-Sの形成に直接関与すると考えられるからです。そのことを考慮して開発されたと考えられる、Trx-fusionでの発現系構築に適したOrigami・Rosetta-gamiなどの宿主系も充実しています。私自身も、タグなしでもGST-fusionでもMBP-fusionでも可溶性にならなかった(未精製さんと同じく、Ureaで可溶化できてもaffinityで精製できなかった)組換えタンパク質の発現が、Trx-fusionでウソみたいに可溶化して精製もうまくいきました。Trx-fusionでもうまくいかないやつもありましたが。
Novagenのカタログなどにも詳細に載っていると思いますが、タンパク質のアミノ酸配列のプロファイルから、どの発現系が適しているかある程度予測することも重要かと思います。たとえばNovagenの場合では、他のタグで可溶性が低い場合、S-Sが多ければTrx-fusion (pET-32 etc.)を、S-Sが少なければNus-fusion (pET-43 etc.)を推奨しているようです。
ちなみに、過去の蓄積データからの統計的な結果だと思いますが、「予想可溶率」はTrx-tag: 77%, GST-tag: 56%, Nus-tag: 95%…だそうです。
(参考:http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.asp?unitid=U100004644)
というわけで、もしタグを変更する場合には、単純にボスの言うなりになるよりは、いろいろな種類のタグの特色と発現させようとしているタンパク質の特質を考え合わせて自分の考えで選ばれた方が、善かれ悪しかれ結果に納得できるのではないかと思います。 |
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