Bio Technical フォーラム

  • 書き込みがかなり増えてしまいサーバーの負荷が大きくなったので、新しいBioTechnicalフォーラムに移行してください。
  • 新しいトピックは新フォーラムでのみ立ち上げ可能です。レスは2009年2月15日までつけられますが、その後は、つけられません。

トピック一覧 | 研究留学ネットに戻る

最新のフォーラム | このフォーラム(readのみ) | ひとつ前のフォーラム(readのみ)

このスレッドをはてなブックマークに追加このスレッドをはてなブックマークに追加

「タグ融合タンパク質の精製」と「タグ選択」 トピック削除
No.364-TOPIC - 2007/10/22 (月) 11:59:24 - 未精製
現在、「Hisタグ融合タンパク質」を大腸菌を用いて発現させ、精製を行なっています。
HisタグはN末端に付加しております。
さらに、得た組換えタンパク質は抗体作製に使います。
そのため、Hisタグと目的タンパク質の塩基配列の間にはトロンビン切断認識部位が存在します。

発現に関しては、空ベクターと目的タンパク質をコードする遺伝子断片を持つベクターを導入した大腸菌の発現産物のSDS-PAGE結果の比較により、「目的タンパク質が発現されている」ことをチェック致しました。
また、抗His抗体を用いたウエスタンブロットによりHis-tagの有無を確認しました。

しかも、目的タンパク質は封入体として発現しており、今後の精製のために可溶化を行ないました。
可溶化は超音波による菌体破砕後の遠心沈殿物を可溶化バッファー[6M 尿素と300mM NaClを含む20mM リン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0)]で懸濁し、これをまた超音波による処理を行なうことにより達成できております。

ですが、この後の精製で数ヶ月間困っております。
こちらにある書き込みを参考にしたりして以下の操作を行なったのですが、なかなかうまくできません。
・TALON樹脂を用いて精製。
・途中からDTT等を使用できるNiセファロース6FFを使用。
(TALONよりも特異性が下がるが、まずは樹脂に目的タンパク質の結合を考慮)
・尿素の濃度を考慮して、可溶化後のサンプルをバッファー交換し希釈。
 (6M→3M, 1Mへ)
・イオン相互作用を考慮して、NaCl濃度を変動。
(0,100,200,300,400,500mM)
・Hisタグがタンパク質凝集により隠れていると考え、還元剤や界面活性剤を使用。
 (1, 3, 5mM 2-メルカプトエタノールを使用。1, 3, 5mM DTTを使用。0.5% SDSを使用。また還元剤と界面活性剤を併用)
 また処理を混ぜて終わりか、低温室(4℃)にて一晩穏やかに浸透しながら処理。
・10% グリセロールを使用。
 (TALONマニュアルを見て、相互作用に変化が起きてくれることを期待)
・ベースとなるバッファーの変更。
 (リン酸ナトリウムを使用していたところ、Trisへ変更)
・バッファー変更に応じて、さらにpHを変更。
 (pH 7.0→pH 7.5, 8.0)
・低温室での精製または室温(25℃くらい)での精製
・重力流方式→バッチ方式
 (バッチ方式にすることにより、樹脂と目的タンパク質の接触時間、樹脂と溶出バッファーの接触時間を長くした)
【上の項目の中でもいくつか組み合わせているものがあります】
・超音波処理を6分間行なっていましたが、これが原因かと考え、超音波時間を振り、上記の可溶化バッファー存在下で精製。
 (超音波時間を0,1,2,3,4,5,6分とし、ついでに可溶化の状況をSDS-PAGEでチェック)
 (これに加えて、菌体破砕物を可溶化バッファーに懸濁後、低温室にて一晩穏やかに振盪処理)


なかなかうまく行かず、半ばどうしようか迷っていると、
研究室の教授が「HisタグからGSTタグにしろ」をアドバイスをくれました。
「GSTタグはHisタグと違い、以下の項目があるから有利」
・変に凝集せず精製し易い
・トロンビン認識部位がある。
確かにpGEXベクターを見ると、トロンビン認識部位があったりしますが・・・
(まずはこのベクターを購入するところから始まります。)

実際、Hisタグを打ち止めしようかGSTタグに取り掛かろうか、どうしようか迷っています。

Hisタグタンパク質の精製に関して、もう検討する余地はないのでしょうか?
Hisが発現産物に存在するのに、ここまで色々と条件を振って、うまくいかないことがあるのでしょうか?
 
- このトピックにメッセージを投稿する -



43件 ( 1 〜 20 )  前 |  1/ 1. 2. 3. /3


「成功の兆しかもしれません」 解決済み 削除/引用
No.364-44 - 2007/11/03 (土) 13:03:37 - 未精製
皆さん、大変たくさんのご意見、ありがとうございました。

まずは、じょびさんやtakさんが書き込んでくださったように封入体を洗浄しました。今回は数種類のTriton X-100濃度を用いて検討し、takさんが書き込んで下さった方法で進めました。
> 封入体の洗浄は、4%のTriton X-100を含むバッファーを加え、室温で30分間振とう、そして遠心というサイクルで3回行っています。

この方法通りに封入体を洗浄し、次は可溶化・・・
多くの方がご指摘くださったように、変性剤を尿素からグアニジンに変えてみました。
処理方法としては、洗浄後の遠心ペレット(封入体目的タンパク質を含む)を可溶化バッファー(20mM リン酸ナトリウム、300mM NaCl、6M グアニジン)に良く懸濁し、2時間、室温で振盪処理し、その後、超音波処理を行ないました。
可溶化の有無を確認をするために、
まずは、「振盪処理のみ」と「振盪処理+超音波処理」の遠心上清と遠心ペレット懸濁液のSDS-PAGE解析を行ないました。
さらに、比較として、尿素ver.の可溶化バッファーを用いて同時に行ないました。
その結果はグアニジンが一目瞭然で可溶化がきちんと行なわれている事が確認できました。
しかも、グアニジンの場合は振盪処理を行なっただけでも可溶化がしっかり進んでいる事が伺えました。
以降は、超音波処理も行なったものを扱っていますが・・・

これをNiセファロース6FF樹脂を用いた精製に供しました。
その結果、尿素でこれまで結合しなかった目的タンパク質のバンドが、グアニジンに関しては検出されました。
まだまだ非特異的吸着が目立ちますが、遂に目的タンパク質と同じ位置にきっちりとバンドを確認しました。
嬉しい限りです。
これまで、ご意見下さった方々にただただ感謝です。

あとは、非特異的吸着を如何にして抑えるか、目的タンパク質を効率良く結合させる条件を見い出せば、今回の精製系は確立するのでは・・・と考えております。
今は、数ヶ月ぶりに良い結果が出たような気がして、ただただ安心しております。
本当に、色々なご意見ありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.364-43 - 2007/11/03 (土) 12:40:50 - 未精製
K さん
アドバイス、ありがとうございます。

> SDS化した抗原由来のポリクロ抗体はELISAでも使えることがあるが、モノクロは融通が効かない
なるほど。
以前の書き込みにも記してありますが、私はこの点に関してはまだまだ勉強不足で無知にも等しい状態であります。
このようなご意見、大変参考になります。
ありがとうございます。


> GSTも検討されている、とのことですが、HisTagで駄目ならGSTも…という話を聞いた事があります。
予算に余裕があれば、NEBから発売されているpMalシリーズを使ってみてはいかがでしょう?
そうですね・・・
封入体で発現され、可溶化しなければいけないという手間と、
封入体になるからHisタグが顕著にタンパク質の内部に埋もれてしまう、
といった問題点があるのならば、可溶性画分として発現させるというのは最もなご意見でしょう。
そういう意味で、pMalシリーズがあるとかいう情報はありがたく思います。

ですが、ここでの書き込みを頼りに現在の状況を打破しようと齷齪している状態です。
それがうまくいかなかったら、タグを変えるとか、そういう別法に移行したいと考えております。参考となる情報、ありがとうございます。

(無題) 削除/引用
No.364-42 - 2007/11/02 (金) 14:13:46 - K
>ELISAに似た
なるほど…ELISAだと「やってみるしかない」としか言えませんね。
ネイティブな状態の抗原でも反応するかも知れないし、全く反応しないかもれいなし…
SDS化した抗原由来のポリクロ抗体はELISAでも使えることがあるが、モノクロは融通が効かないとか、教授が話してました。

>成功から遠ざかっている精製を成功させたい一心で
すごくわかります。
私も、3種類のHisTagコンストラクトを作って可溶性に発現したのは1種で、それも可溶性:不溶性=4:6ぐらいで…と泣きを見た事があります。
GSTも検討されている、とのことですが、HisTagで駄目ならGSTも…という話を聞いた事があります。
予算に余裕があれば、NEBから発売されているpMalシリーズを使ってみてはいかがでしょう?
私は使った事が無いのですが、可溶性として発現し(可溶性、収率云々はどこのメーカーも同じことを主張しますが)、精製もワンステップでいけるという論文を見ました。

(無題) 削除/引用
No.364-41 - 2007/11/01 (木) 21:49:17 - 未精製
K さん
アドバイスありがとうございます。

この抗体は、マイクロプレートに固定化して、この抗体に対する抗原の量を見る・・・つまりELISAに似た研究に使いたいと考えております。

ですので、ご指摘頂いた、
> ウェスタンに使うなら、抗原タンパク質を2xSDS Sample Bufferに溶かして、SDS-PAGE, ネガティブステインで染めて、バンドを切り出し、適当に洗って、ゲルを粉砕、動物に注射で、すごくいい抗体が得られると思います。

以前の書き込みにも書いてありますが、今のところ、成功から遠ざかっている精製を成功させたい一心で、抗体作製の勉強の方がかなり手薄になっております。
ですので、このアドバイスは大変参考になりました。
ありがとうございます。

(無題) 削除/引用
No.364-40 - 2007/11/01 (木) 12:56:29 - K
> 抗体作成目的でしたら、変性剤で可溶化された状態で免疫することはできないのでしょうか
その抗体を何に使うのかに依ると思います。
ウェスタンに使うなら、抗原タンパク質を2xSDS Sample Bufferに溶かして、
SDS-PAGE, ネガティブステインで染めて、バンドを切り出し、適当に洗って、
ゲルを粉砕、動物に注射
で、すごくいい抗体が得られると思います。

IP用だったり、抗体カラム用だったりすると、上の方法は使えないと思います。

(無題) 削除/引用
No.364-39 - 2007/10/31 (水) 21:46:02 - 未精製
tak さん
アドバイスありがとうございます。

> グアニジン塩酸塩で可溶化したタンパク質溶液に終濃度90%となるように氷冷したエタノールを加え、−20℃で冷却すればタンパク質を沈殿させることができるみたいですよ。
なるほど。
TCAやアセトン沈殿みたいなものでしょうか・・・
エタノールですと、核酸系統が沈殿するような気がしますが。
少々調べてみますね。
ありがとうございました。

別の方法も 削除/引用
No.364-38 - 2007/10/31 (水) 16:56:38 - tak
グアニジン塩酸塩で可溶化したタンパク質溶液に終濃度90%となるように氷冷したエタノールを加え、−20℃で冷却すればタンパク質を沈殿させることができるみたいですよ。完全にグアニジンを除くためにさらにもう一度90%エタノールで洗浄を行うとよいそうです。回収率はわかりませんが・・・。

(無題) 削除/引用
No.364-37 - 2007/10/30 (火) 23:39:58 - 未精製
aa さん
アドバイス、ありがとうございます。

> 抽出をグアニジンに変えるときは、カラムにロードした後、6M ureaに戻すのですよ。グアニジンのままでは、SDS-PAGEでつまずきます。
以前、ここの書き込み(http://www.kenkyuu.net/cgi-biotech/biotechforum.cgi?mode=view;Code=3837)で見ましたが、忘れてました。
助かりました。ありがとうございます。


> 6Mグアニジンのタンパクは、20dilした後で5%TCAで沈澱できますが、回収率は不明です。
方法もご丁寧にありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.364-36 - 2007/10/30 (火) 23:35:16 - 未精製
taka さん
アドバイスありがとうございます。

> バキュロの系等も検討されてみてはいかがでしょうか。
そうですね・・・
一まず、現在の大腸菌で行なっているできる限りの事をやっていきたいと思いますので、それでもうまくいかなかったら、考えてみます。


> 抗体作成目的でしたら、変性剤で可溶化された状態で免疫することはできないのでしょうか
そうですね・・・
まだ抗体作製の段階は勉強不足でクリティカルな回答はできませんが、過去の書き込みにありますね。
http://www.kenkyuu.net/cgi-biotech/biotechforum.cgi?mode=view;start=1;Code=951

封入体の洗浄で、ほとんど目的タンパク質であることが、勿論条件だと思いますが・・・

(無題) 削除/引用
No.364-35 - 2007/10/30 (火) 21:29:39 - aa
抽出をグアニジンに変えるときは、カラムにロードした後、6M ureaに戻すのですよ。グアニジンのままでは、SDS-PAGEでつまずきます。6Mグアニジンのタンパクは、20dilした後で5%TCAで沈澱できますが、回収率は不明です。

昆虫細胞を検討してみては? 削除/引用
No.364-34 - 2007/10/30 (火) 21:24:22 - taka
いったん封入体に入ってしまうと、きちんとしたタンパクに巻戻すのは相当のトライアンドエラーが必要だと思います。
バキュロの系等も検討されてみてはいかがでしょうか。
ところで素人意見ですが、抗体作成目的でしたら、変性剤で可溶化された状態で免疫することはできないのでしょうか(アミノ酸配列だけが問題のような気がしますので)。過去にそういう議論がここであったような、なかったような。。。

今回の最終結果 解決済み 削除/引用
No.364-33 - 2007/10/30 (火) 19:33:17 - 未精製
数回前の書き込みに記しておりますが、
封入体を3%(w/v) Triton X-100を含むバッファーで3回洗浄したものを、超音波処理を用いた可溶化を行ない、その遠心上清(可溶化した目的タンパク質が含まれている)をバッチ法により精製を行いました。エリューションは100mM イミダゾールを用い、樹脂に結合したタンパク質を一気に溶出しました。

そして、先日「アプライしたサンプル」、「アプライflow through」、「エリューション」に関して、SDS-PAGE解析を行ないました。
その結果は、これまでと変わらず、目的タンパク質が結合していませんでした。
原因は、atsさんの書込みにもありますが、
> 超音波処理の効果は、「可溶化」ではなく「分散」もしくは「不十分な可溶化」=「Histagが露出しない」かもしれませんね。
このような原因で、うまくいかないなのかもしれない、と考えております。

今後は、ほとんどの方がアドバイスしてくださっているグアニジンを用いた可溶化を行ないたいと考えています。


今回ではなく、前回のSDS-PAGE解析ではアプライしたサンプルが濃縮ゲルと泳動ゲルの境にアグッてしまい、泳動されず、しっかりチェックすることができませんでしたが、洗浄を重ねる事により、夾雑タンパク質のバンドが除去されている様子が伺えました。

現在は、takさんがアドバイスして下さった方法(4% Triton X-100を用いて、処理は30分振盪)で封入体を洗浄し、各洗浄ステップのSDS-PAGE解析を行ない、洗浄の効果をチェックしたいと思い、実施しています。洗浄の効果を再確認する意味で・・・
また、ある程度キレイになったら、SDS-PAGE後、エレクトロエリューションにもって行きたいと思います。
それか、洗浄の効果が見込まれたら、Eさんがアドバイスして下さっているように、タグ無しで発現し、おそらく封入体で発現されると思いますので、これを洗浄し・・・という方法をとりたいと考えています。


皆様、本当にアドバイスありがとうございました。
色々と成功のための作戦をアドバイスして下さり、まだまだ存分に挑戦できると思います。

(無題) 削除/引用
No.364-32 - 2007/10/28 (日) 21:38:41 - 未精製
tak さん
アドバイスありがとうございます。

> 封入体の洗浄は、4%のTriton X-100を含むバッファーを加え、室温で30分間振とう、そして遠心というサイクルで3回行っています。
貴重なTriton X-100を用いた封入体の洗浄方法を教えていただきありがとうございます。
今回、私は、0.2%と3%の2種類の濃度を用いて、遠心沈殿物(封入体目的タンパク質を含む)をピペッティング攪拌やボルテックスを用いた懸濁を行なうことにより洗浄しました。
さらに、振盪処理するとさらに効果が高まりそうですね。
参考にします。


> また、私の場合、変性剤に尿素を用いていた時はNiカラムに吸着しなかったものが、変性剤をグアニジンに変えたところ、かなりの純度で精製できるようになりました。
なるほど。
グアニジン購入の手続きをしたので、今日か明日には手元に届くでしょう。
試す価値、十分ありそうです。そして、その結果を得るのが楽しみです。


> あと、REFOLD Homeもお勧めです↓
ありがとうございます。
なかなか見応えありそうです。
近々行なうであろう手順の勉強にもってこいです。

参考までに 削除/引用
No.364-31 - 2007/10/28 (日) 15:11:06 - tak
 封入体の洗浄は、4%のTriton X-100を含むバッファーを加え、室温で30分間振とう、そして遠心というサイクルで3回行っています。
 また、私の場合、変性剤に尿素を用いていた時はNiカラムに吸着しなかったものが、変性剤をグアニジンに変えたところ、かなりの純度で精製できるようになりました。
 DTTを加えるとカラムが茶色に変色するので、私は精製後に加え、37℃で30分間反応させるようにしています。
 あと、REFOLD Homeもお勧めです↓
http://refold.med.monash.edu.au/

封入体洗浄・可溶化の結果報告 削除/引用
No.364-30 - 2007/10/28 (日) 02:45:12 - 未精製
今回は、「封入体をある程度洗浄して、それを6M 尿素を用いて可溶化し、GE HealthcareのNiセファロースを用いて精製」を行なっております。

色々と難航しておりますが、現在可溶化したサンプルを樹脂と接触させ、溶出を行なったところであります。


まずは可溶化に関して、「封入体をある程度洗浄」というアドバイスを頂きましたので、早速それを試しました。
界面活性剤であるTriton X-100を用いて洗浄を行ないました。
その濃度はまずこの書込みにも出てきましたが、羊土社のタンパク質実験ノートを参考にすると、「終濃度0.2%のものを用い、2-3回洗浄を行なう」と書かれていました。加えて、論文をザッと目を通して、様々な濃度が使われておりましたが、その中で濃かったのが「3%」でしたので、この2種類のTriton X-100濃度に関して洗浄を行ないました。

洗浄の挙動を観察するために、3回の各洗浄時の懸濁液をエッペンチューブに少量回収し、遠心分離(20000×g,30分)し、上清回収、ペレットに上清と等量のバッファーを加え良く懸濁し、それらの10μlを用いてSDS-PAGE解析を行ないました。

同時に、可溶化(giraさんにアドバイスを貰っておりますが、今回は超音波処理あり)を行なったものの、遠心上清とペレット懸濁液各々10μlもSDS-PAGE解析にアプライしました。

SDS-PAGE解析は、サンプルバッファー(2-MEではなく、DTTと尿素入りのものを私は使用しております)との煮沸処理後、特にペレット懸濁液に関して、タンパク質がプヨプヨした状態になりアプライできないので、室温で一晩静置反応させてからアプライしました。

予想では、目的タンパク質のバンドは洗浄画分ではペレット懸濁液に、可溶化画分では上清に際立って検出できると考えておりました。

その結果は、悲惨で、目的タンパク質が存在するレーンに関して、濃縮ゲルト泳動ゲルの境に、一部のタンパク質がアグッて泳動されておりませんでした。しかも、このアグッているバンドはかなり濃いものとなっております。

さらに、3回の各回洗浄フラクションのレーンでは、封入体が精製されていない(洗浄の効果が見られない)という感じの泳動パターンを得てしまいました・・・
それを裏付けるかのように、可溶化処理の上清には10数バンドの目立つバンドが検出され、目的タンパク質のバンドが検出されませんでした。
ここに目的タンパク質由来のバンドがないと予想に反するので、おそらく、アグッたものは目的タンパク質なのではないか・・・と考えております。

それでも、洗浄はある程度できているのではないかと考え、バッチ法を用いた精製を行ないました。溶出には、100mM イミダゾールを用いて、結合したタンパク質を樹脂から外すという手順を行ないました。
現在、アプライFlow-throughと溶出産物を獲得し、サンプルバッファーと反応させているところです。
今回は一晩より少々長めに反応させようかと考えており、実行しております。

atsさんが書かれているように、
> 超音波処理の効果は、「可溶化」ではなく「分散」もしくは「不十分な可溶化」=「Histagが露出しない」かもしれませんね。
と言う点が引っかかり、今回どうなっているのか、なかなか心配なものがあります。
しかし、この精製サンプルのSDS-PAGE解析でどうなるか・・・私としては楽しみです。

(無題) 削除/引用
No.364-29 - 2007/10/28 (日) 01:57:34 - 未精製
ats さん
アドバイス、ありがとうございます。

> 超音波処理の効果は、「可溶化」ではなく「分散」もしくは「不十分な可溶化」=「Histagが露出しない」かもしれませんね。
そういう考え方もあるのですね。
可溶化がなされているのではなく、「分散」とは・・・
超音波処理により、まとまっていたタンパク質がただ単にほぐれた、という認識ですか・・・
これがもたらすものは、Hisタグが露出していないという事。
だから、樹脂に目的タンパク質が結合しない・・・そういう解釈もあるのですね・・・
なるほど、可能性のある原因の根源を1つ見つけることができました。ありがとうございます。


> 6M Guanidine HClの方が変性力が強いので、これで可溶できたら、カラムに結合させてからUreaに置換することができます。
なるほど。
今後、グアニジンに関しても実験を進めていこうとも思っています。
そのときの参考にさせていただきます。
ありがとうございます。

(無題) 削除/引用
No.364-28 - 2007/10/28 (日) 01:46:27 - 未精製
E さん
アドバイス、ありがとうございます。

> 詳しい配列がわからないのではっきりとはいえませんが切断サイトは
プライマーを上手く設計すればPCRで作り出せるのでは?
> 結構な長さのプライマーになると思いますが新しいベクターを買うよりは
安く済むはずです。
そうですね・・・
このことも少々考えておりました。
例えば、トロンビン認識配列(塩基配列:CTGGTGCCGCGCGGCAGC、アミノ酸配列:LVPRGS)をプライマーを用いての導入は、私の研究室でも以前似たような事を行なっていた人がいますし、先生が遺伝子関連・分子生物関連に詳しいので相談できますし、おそらくできると思います。
プライマーの長さが長く、さらに鋳型に特に相補的でない配列が続いたり、GCリッチであったりすることが気がかりでもありますが・・・
ただ、Eさんがおっしゃる通り、ベクターを新しく購入するよりも安くできるでしょう。
考えていたことを再確認できました。ありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.364-27 - 2007/10/27 (土) 13:50:57 - ats
> これまで6M 尿素で可溶化を行なっておりますが、これと混ぜて低温(4℃)と室温(25℃)で一晩穏やかに振盪処理したのですが、可溶化効率があまりにも低く、超音波処理を行なったところ、効率がグンと上がったので、...
に関して、
超音波処理の効果は、「可溶化」ではなく「分散」もしくは「不十分な可溶化」=「Histagが露出しない」かもしれませんね。
6M Guanidine HClの方が変性力が強いので、これで可溶できたら、カラムに結合させてからUreaに置換することができます。

(無題) 削除/引用
No.364-26 - 2007/10/26 (金) 22:54:23 - E
> コスト的に安く済ませるには、ベクターの作り直し。
> 基本的にプライマーを作製するだけなので、ベクターを購入するよりも
>おやすいでしょう、きっと。
> C末にHisタグを付けることは手持ちのpET-25bで容易にできますが、
>目的タンパク質をコードする遺伝子とHisタグをコードする遺伝子の間に
>タグを切断するような認識配列がないので・・・

詳しい配列がわからないのではっきりとはいえませんが切断サイトは
プライマーを上手く設計すればPCRで作り出せるのでは?近くに分子
生物学に詳しい人がいるようでしたら一度相談してみるといいと思います。
pET-25bのどの制限酵素サイトを使われているのかわかりませんが目的の
遺伝子の3'末端側ににトロンビンの切断サイトとHisタグに繋がる制限
酵素サイトを付けたプライマーを設計しPCRで増幅後該当の制限酵素で
PCR産物を切断してライゲーションで付けられると思います。もちろん
結構な長さのプライマーになると思いますが新しいベクターを買うよりは
安く済むはずです。ただ私自身はこのようなコンストラクションを作った
時に結構はまったので分子生物学に詳しい人(そんな感じのコンスト
ラクションの経験が豊富な人)に相談できるといいと思います。


> とりあえずは、今日の封入体洗浄の結果までは近々お知らせしたいと
>思います。

上手くいくことを祈ってます。

(無題) 削除/引用
No.364-25 - 2007/10/26 (金) 12:11:45 - 未精製
gira さん
アドバイス、ありがとうございます。

> 還元剤は全くなしでやってみる。
> EDTAなどキレート剤が入っていないか確認する
以前の検討は、勿論還元剤を添加して行なったり、色々な条件で精製を試みていますが、
封入体をできる限り洗浄して、それをアプライするという今回の手法では、とりあえず還元剤なしの条件で進めたいと考えております。
あわよくば、還元剤の有無で並行して行ないたいのですが、今回は1つの結果を確実に、と考えております。
なので、このご意見は大変心強いです。

キレート剤の有無に関しましては、EDTAは含まれていないのは確かです。
他のキレート剤として挙げられるものは・・・特にないと考えております。


> コンストラクトのHis-目的タンパク質の間を長くする。またはN-terminalをすこし削ってみる。
>(抗体作製のみの目的であれば、多少短くなろうがながくなろうが関係ありませんから)
長さを変えれば、タンパク質のフォールディングが改善されると言うことでしょうか?
これも1つの策として考えて見ます。


> 可溶化ですが高濃度のUreaかGuanidineのbuffer十分量を少量のPBSなどのbufferで懸濁したペレットに直接まぜて(どろどろです)そのまま40000回転ぐらいで超遠心をかけます。じょうせいに目的のタンパク質がでてきます。
ソニケーションはいろんなことがおこるので、一度この方法も検討してみてください。
これは超音波処理を行なわないということでしょうか?
これまで6M 尿素で可溶化を行なっておりますが、これと混ぜて低温(4℃)と室温(25℃)で一晩穏やかに振盪処理したのですが、可溶化効率があまりにも低く、超音波処理を行なったところ、効率がグンと上がったので、その方法を現在の手順に加えております。
高濃度と言いますと、溶解度ギリギリの事を指すのでしょうか?
尿素だったら、12Mとかでも溶けますし・・・


> His抗体でバンドは認識されてますよね?CBBのみだけではなくて。
そうですね。
『GE Healthcareの抗His抗体』を用いたウェスタンブロットと、『PIERCE社のGelCode 6×His Protein Tag Staining Kit』を用いたゲル染色によるHisタグの有無はチェック済みです。

43件 ( 1 〜 20 )  前 |  1/ 1. 2. 3. /3


パスワードを入力してチェックした記事を チェックした記事を