0.5mlチューブに保存しておいたスタンダード溶液を、1週間以上たってからリアルタイムRT-PCRにかけてみました。すると、スタンダード溶液希釈当初と全く同じ綺麗な増幅が見られました。(段階希釈に従って等間隔に増幅曲線が立ち上がっている。)また、PCR効率の目安となる、slopeは-3.3〜3.5と、理想的な値が保たれていました。(-3.3のときPCR効率100%を意味する)
一方、1.5mlチューブに希釈したスタンダード溶液は、ランする度に増幅のタイミングがバラバラという結果になりました。しかもslopeは-4〜5という異常な値になりました。
以上の結果を踏まえ、このトピックで提案された”吸着”は思いの外効いているのではないかという結論に達しました。吸着の程度は、チューブによって差がある(たとえ同じロット番号でも)ために、例えば10^7スタンダード溶液を入れたチューブではほとんど吸着が起こらないのに10^6スタンダード溶液を入れたチューブではすごく吸着が起こる(→すると10^7スタンダードの増幅曲線と10^6スタンダードの増幅曲線の間が妙に開くことになる)、という結果になると考えられます。
しばし、サーモンスパームなどのキャリアDNA溶液を使ってスタンダード溶液を希釈するといいという話をききますが、私はこの意味を、単純にスタンダードDNAの分解を抑えるためだというふうに解釈しておりました。しかしチューブへの吸着を考えたとき、(スタンダードDNAよりも)大量のキャリアDNAが存在すればキャリアDNAのほうが吸着しやすいことになり、従ってスタンダードDNAが吸着してしまうのを防ぐという効果もあることをはじめて知りました。
どうしてもキャリアDNAを使いたくないと言う場合には、低吸着を謳っているチューブが有ればそのような製品を使うのも手でしょう。
皆様の熱心な議論・有用なアドバイスに大変感謝しております。ありがとうございました。 |
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