鋳型の希釈列をつくるのはPCRの段階でいいのか、逆転写の段階にすべきか、という質問だと思います。
qPCRで鋳型の希釈列を作るのは、PCR反応が測定に適正なレンジに収まるポイントを選ぶためと、dose-dependentに応答しているかを見ることで測定値の信頼性を証明するためであると理解しています。この意味で、PCRの段階でcDNAの鋳型の希釈列を作るのには意義があります。
一方、内部標準はサンプルごとの逆転写効率のばらつきをnormalizeするためで、一反応のなかではどのRNA種も一定の効率で逆転写されるという前提です。逆転写の段階で、RNAの鋳型の希釈列を作れば、逆転写効率がそれぞれ異なるでしょうけれど、一反応の中ではすべてのRNAの逆転写効率が同じ割合だけ変化すると考えるので、希釈率を変えても同じことを繰り返してやっているだけで、あまり意味がないでしょう。たとえ、RNA種によって、希釈による逆転写効率の影響が多少違うことがあっても、それ以上にサンプルごとの逆転写効率の違いの影響のほうがよっぽど大きいので、この段階で希釈列を作っても何を見ようとしているのかわかりません。
なお、以前のトピで取り上げられていましたが、希釈列を作るときは、チューブなどへの鋳型の吸着に留意してください。鋳型が微量になるほど吸着によるロスの影響が大きくなるので、吸着を防がないと希釈率以上に測定値の低下が起こります。 |
|