ソニケーションをしすぎると熱が発生してタンパク質が変性し沈殿に行くことがあります。念のためですがまずはソニケーションの条件を確認されては?
不溶性画分に発現しているタンパク質を可溶性画分へ持ってくる条件を検討するにはいくつかの方法があります。しかしそれはどれも涙の阪神ファンさんがおっしゃっているように発現の速度を遅くして正しいホールディングを取らせる時間を稼ぐ方法です。私の経験から知っている方法は
1)温度を下げる
2)IPTG濃度を下げる
3)M9のような最小培地で発現させる
などです。1)の場合にはあまり変わらないと思いますが18度を使う人と16度を使う人がいました。またこのような低い温度の場合、タンパク質発現を1週間かけている人もいました。3)の場合も発現を長めに行っていたように思います。他の方法としては
4)GroELを共発現させる
5)GSTの様な可溶化を助けるタグをつける
6)目的タンパク質が全長であるなら機能ドメインのみ発現系を作る
などかと思います。この辺りになるとベクターを代えたりとコンストラクションし直す事になります。また実験系によってはタグを付けられないかもしれません。6)についてはドメインレベルでの話ですが数残基のアミノ酸の違いによってタンパク質の安定度が劇的に変わった(可溶化しやすくなった)例を見たことがありますから可能性はあると思います。ただどのような長さにすれば安定するかの方法論がありませんからこれを目指すには適当な長さのコンストラクションを幾つか準備するしかありません。ただここまでくると結局コンストラクションのやり直しですからEcoRIさんがおっしゃるように大腸菌の系を早々にあきらめて他の発現系に移行するのも一計かと思います。
もし今の発現系をそのまま使うのであれば封入体からのリフォールディングになりますがその条件については界面活性剤からアミノ酸のような小さな分子を使う方法など論文を調べればいくつも方法が出てきますからそれを片っ端から試してみるしかありません。結局この方法は力技ですからそのタンパク質が少量必要なだけなら悪くありませんが多量に必要なのであればお勧めしません。 |
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