細胞内に導入されたplasmidがゲノムに組み込まれ際にはランダムにどこかが切断されて直鎖になって挿入されます。このとき目的の遺伝子の発現に必要な領域が切断されるような組み込まれ方をしてしまうと正確な発現を維持できません。
そのためあらかじめ発現に必要ではない部分を切断して直鎖状にし、組み込まれるパターンを決めておくと薬剤耐性遺伝子と目的の遺伝子の両方が正確に発現するクローンが取得しやすくなります。
私のところではピューロマイシンは一度1mg/mlの濃度で滅菌水に溶かしておき、それを小分けにして-20度で保存し、その都度培地に添加して使用しています。何度も凍結融解を繰り返すと劣化してしまうと思い、心配なので小分けにしています。
ヒト由来の株化された癌細胞であれば選抜の濃度は0.5〜3.0μg/ml位が培地に添加して使用する濃度の目安になると思います。選抜にかかる時間は数日くらいでしょうか。この辺は選抜する薬剤の種類によります。
二週間という期間も薬剤耐性を獲得したクローン由来の細胞集団がある程度増殖して96well等に単離しやすい数になるのを待つ時間ということです。少ない細胞数でも増殖が早ければもっと早くクローニングできるものもありますし、逆に時間がかかるようなこともあります。
ピューロマイシンの取り扱いですが、私は皮膚に直接着かないように注意すること以上は特に警戒していません。滅菌水に溶かす前の粉末の状態では空中に舞わないように注意することは必要だと思います。 |
|