浮遊法では,シワもなくコントラストのよい染色が得られますが,いくつか条件があります.
バッファーに浮かせた切片を破らずに扱い,最終的にスライドグラスに貼り付けるためには,ある程度しっかりした固定が必要です.4%パラフォルムアルデヒドが標準ですので,抗原保持のために2%パラフォルムアルデヒドとかメタノールやアセトン固定でないといけない抗体を使いたいときには不向きです.
これも切片のハンドリングの問題ですが,切片にはある程度の厚さが必要です.自分は普段,20ミクロンで切っています.
これらの条件をクリアできるのなら,試す価値はあるでしょう.厚い切片が逆に幸いして,神経の走行やグリアの突起などをきれいに染め出すことができます.抗体は貼り付け法よりも10倍程度薄めて使うことができ,普通はブロッキング血清も要りません.それから切片を貼り付けた将来使いそうもないスライドで冷凍庫をいっぱいにすることもないのもちょっとしたメリットです. |
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