>[Re:5] たなたけさんは書きました :
> "理論的"というのは、夾雑物そのもののUVスペクトルが影響しない条件下で、溶媒や夾雑物などで核酸構造が密になるなどしてπ--> π*遷移の共役が伸張して...
> 測定してそうだったというのは"経験的"なものでA260/280 ratioが1.8であるのがよいとされる理屈を議論することができません。
この辺を理屈で説明するとなれば、量子化学の域で私の範疇ではないので説明できません。結局は科学は観察から法則を見いだしていくものなのでどこで経験的、理論的という線引きに迷ってしまいます。ひと昔前にきいた話によると、量子化学的に構造から吸収を計算するのは限界があると聞いたことがあります。ただし、dNTPなどの吸収が分かればそれが相互作用することで何が起こリうるかというのは量子化学的にある程度は想定、あるいは説明できるのではと素人ながら推定しています。
> 測定してそうだったというのは"経験的"なものでA260/280 ratioが1.8であるのがよいとされる理屈を...
でも、これらはピュアーだといえるものを用意して、測定した結果から来ていると思います。
たいていの物質の吸光度はそうやって測り、量子化学的に詰めていってよりロジカルに説明できるように努力がなされているのではないでしょうか。
> 一番知りたいのは、A260/280が2.2など高く出る場合(スペクトルはA260を極大としてA260/230が2.0程度、A300-700がほぼゼロ)に何が起こっているのか...
もしプラスミドとか精製を考えているのであればこれは、夾雑物のUVの吸収によるがかぶっていると考えていると思います。フェノールやグアニチジン(230nm)、あるいはたんぱく質などです。
A260/280はTEなどの水溶液での吸収を考えていて、塩濃度が高かったり、何か有機溶媒中での吸収を考えていないと思います。塩濃度により構造、螺旋の形状の変化が知られていますし、そういった場合吸収が変化するなら、その変化と構造の関係は調べられているのではと思います。
そのた3重鎖や4重鎖などの構造が知られていますが、UV吸収の関係とかたしかに純粋に興味がありますが、専門外なので調べたことはないです。
また、特定のケミカルとDNAの相互作用とUV吸収の関係というのであれば、多分(私の勝手な想像ですが)いろいろな論文が出てるのでないかとおもいます。ただ分子生物学の標準の環境ではそれらのデーターはあまり関係がないのだと思います。
もし、あなたがある環境でDNAのUV吸収を見ていて、その環境にUV吸収の変化に可能せいのある物質の検討をつけれるのなら、そこからキャラクタライズ(論文調査、量子化学的考察、実験)をしていくのが正攻法だと思います。
また、A260/280が異常にずれている場合は、単なるUV吸収をもつ夾雑ぶつであっても、なにかDNAの吸収に影響を与えていたとしても、正確にははかれていないと思いますので、さらに精製するか、その環境で正確な値をえる方法を考えるかしないといけないと思います(どれくらいの精度の定量が必要かというのも加味したうえで)。
蛍光色素(DAPIやEtBrなど)を用いた方法はUVより、クルードでも定量ができると思います。ただしATのレシオでズレますので、同じ割合のATを持つ物をなるべくスタンダードに置くことを考慮する方がいいとされています。
つかぬことお伺いしますが、DNAが何らかの環境で可視領域に吸収を持つことが量子化学的にありうるとお考えでしょうか。 |
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