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核酸の吸光度から精製度の判断 A260/280が高いとき トピック削除
No.2012-TOPIC - 2008/09/25 (木) 10:49:55 - たなたけ
核酸の吸光度についての質問です。

A260/280について、ピュアなDNAは1.8程度、RNAは2.0程度なんていわれていますがどういう理屈なのでしょうか?理論的なものなのでしょうか?それとも経験的なものなのでしょうか?

値が低ければ疎水系アミノ酸によるA280の増大でA260/280が低下することはわかりますが、A260/280が例えば2.2など高い場合はどのようなことが考えられるでしょうか?

参考になるwebサイトや文献などでも結構ですので宜しくご教授願います。
 
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(無題) 削除/引用
No.2012-7 - 2008/09/27 (土) 04:28:57 - おお
>[Re:5] たなたけさんは書きました :


> "理論的"というのは、夾雑物そのもののUVスペクトルが影響しない条件下で、溶媒や夾雑物などで核酸構造が密になるなどしてπ--> π*遷移の共役が伸張して...

> 測定してそうだったというのは"経験的"なものでA260/280 ratioが1.8であるのがよいとされる理屈を議論することができません。

この辺を理屈で説明するとなれば、量子化学の域で私の範疇ではないので説明できません。結局は科学は観察から法則を見いだしていくものなのでどこで経験的、理論的という線引きに迷ってしまいます。ひと昔前にきいた話によると、量子化学的に構造から吸収を計算するのは限界があると聞いたことがあります。ただし、dNTPなどの吸収が分かればそれが相互作用することで何が起こリうるかというのは量子化学的にある程度は想定、あるいは説明できるのではと素人ながら推定しています。

> 測定してそうだったというのは"経験的"なものでA260/280 ratioが1.8であるのがよいとされる理屈を...

でも、これらはピュアーだといえるものを用意して、測定した結果から来ていると思います。
たいていの物質の吸光度はそうやって測り、量子化学的に詰めていってよりロジカルに説明できるように努力がなされているのではないでしょうか。

> 一番知りたいのは、A260/280が2.2など高く出る場合(スペクトルはA260を極大としてA260/230が2.0程度、A300-700がほぼゼロ)に何が起こっているのか...
もしプラスミドとか精製を考えているのであればこれは、夾雑物のUVの吸収によるがかぶっていると考えていると思います。フェノールやグアニチジン(230nm)、あるいはたんぱく質などです。

A260/280はTEなどの水溶液での吸収を考えていて、塩濃度が高かったり、何か有機溶媒中での吸収を考えていないと思います。塩濃度により構造、螺旋の形状の変化が知られていますし、そういった場合吸収が変化するなら、その変化と構造の関係は調べられているのではと思います。
そのた3重鎖や4重鎖などの構造が知られていますが、UV吸収の関係とかたしかに純粋に興味がありますが、専門外なので調べたことはないです。

また、特定のケミカルとDNAの相互作用とUV吸収の関係というのであれば、多分(私の勝手な想像ですが)いろいろな論文が出てるのでないかとおもいます。ただ分子生物学の標準の環境ではそれらのデーターはあまり関係がないのだと思います。

もし、あなたがある環境でDNAのUV吸収を見ていて、その環境にUV吸収の変化に可能せいのある物質の検討をつけれるのなら、そこからキャラクタライズ(論文調査、量子化学的考察、実験)をしていくのが正攻法だと思います。

また、A260/280が異常にずれている場合は、単なるUV吸収をもつ夾雑ぶつであっても、なにかDNAの吸収に影響を与えていたとしても、正確にははかれていないと思いますので、さらに精製するか、その環境で正確な値をえる方法を考えるかしないといけないと思います(どれくらいの精度の定量が必要かというのも加味したうえで)。

蛍光色素(DAPIやEtBrなど)を用いた方法はUVより、クルードでも定量ができると思います。ただしATのレシオでズレますので、同じ割合のATを持つ物をなるべくスタンダードに置くことを考慮する方がいいとされています。

つかぬことお伺いしますが、DNAが何らかの環境で可視領域に吸収を持つことが量子化学的にありうるとお考えでしょうか。

(無題) 削除/引用
No.2012-6 - 2008/09/26 (金) 19:38:23 - AP
>仰るとおり、ovre-estimateになることが懸念されますので定量する必要がある系では問題があるんですよね。

夾雑物で260 nm吸光度からの濃度測定があやしい場合は、Molecular Cloningでいうところのサランラップ法(サンプルとスタンダードの希釈列の水滴をサランラップの上にのせてEtBrを加える)とか、サンプル、スタンダードの希釈列を電気泳動するとかで、EtBr染色の比色をするのが結構正確です。

最近では、核酸に蛍光色素をかませてその蛍光で定量する測定装置もありますね。

(無題) 削除/引用
No.2012-5 - 2008/09/26 (金) 19:12:18 - たなたけ
AP様

ご返答ありがとうございます。
参考になるトピの紹介ありがとうございます。

>ratioが低いときは明らかに純度が低いと判断していいけれど、高いからといって必ずしも純度が高いとは言えない

まさに仰る通りだと思います。UVスペクトルで220-320nmを測定するというのは、隣接する2つ以上のπ-->π*遷移の共役系を見ているにすぎないので、重々承知しているつもりです。

>ratioが低いことで確実に純度が低いサンプルを知るためであって、高いほうは判断しない、できないというようなものだと思います(260 nmに吸光のある夾雑物があるためだとすると、定量自体がover-estimateになって困りますが)。

"できない"となるとなんともスッキリしない疑問のまま終わってしまいますね。
もちろんダウンストリームに影響なければ特別問題視する必要もないとは思いますが、仰るとおり、ovre-estimateになることが懸念されますので定量する必要がある系では問題があるんですよね。
一般的な核酸抽出方法(フェノクロ、エタ沈、イソプロ沈、PEG沈など)で、260nmに極大吸収を持つ、あるいは夾雑物などで核酸の構造を緩和させるなどして核酸の吸収波長の長波長側をシフトさせるような化学物質をご存知であればご教授いただけたらと思います。



おお様

ご返答ありがとうございます。

>経験的というよりは、理論的です。ピュアーなまたは合成された核酸などの吸収スペクトルをとってその吸収極大や280nmの吸収を測って導き出されたものです。

"理論的"というのは、夾雑物そのもののUVスペクトルが影響しない条件下で、溶媒や夾雑物などで核酸構造が密になるなどしてπ--> π*遷移の共役が伸張して吸収波長が長波長側にシフト、あるいはその逆ということがあるのかという意味で質問させていただきました。
測定してそうだったというのは"経験的"なものでA260/280 ratioが1.8であるのがよいとされる理屈を議論することができません。

一番知りたいのは、A260/280が2.2など高く出る場合(スペクトルはA260を極大としてA260/230が2.0程度、A300-700がほぼゼロ)に何が起こっているのかということです。
言葉足らずの質問だったと思います。すみません。

>疎水系アミノ酸と言うより芳香族系でしょうね。
仰るとおりです。芳香族-->疎水性という認識から不完全な書き方をしてしまいました。

(無題) 削除/引用
No.2012-4 - 2008/09/26 (金) 09:36:58 - おお
>[Re:1] たなたけさんは書きました :
> 核酸の吸光度についての質問です。
>
> A260/280について、ピュアなDNAは1.8程度、RNAは2.0程度なんていわれていますがどういう理屈なのでしょうか?理論的なものなのでしょうか?それとも経験的なものなのでしょうか?

"値が低ければ疎水系アミノ酸によるA280の増大でA260/280が低下することはわかりますが"と書いてあるように経験的というよりは、理論的です。ピュアーなまたは合成された核酸などの吸収スペクトルをとってその吸収極大や280nmの吸収を測って導き出されたものです。

疎水系アミノ酸と言うより芳香族系でしょうね。

(無題) 削除/引用
No.2012-3 - 2008/09/25 (木) 15:56:24 - AP
核酸の吸光度による定量については過去トピに何度も出ていましたので、検索して見てください。最近では
http://www.kenkyuu.net/cgi-biotech2/biotechforum.cgi?mode=view;start=1;Code=1546

そこにあげた文献が参考になると思います。

>A260/280について、ピュアなDNAは1.8程度、RNAは2.0程度なんていわれていますがどういう理屈なのでしょうか?

核酸自体の吸光ピークが260 nmで、ピークから外れた280 nmでは吸光度が半分程度であるからでしょう。タンパク質(のなかの疎水性アミノ酸でしょうか)の吸光ピークが280 nmにあるので、夾雑していると280 nmの吸光度を上げ、Ratioを下げると。

>A260/280が例えば2.2など高い場合はどのようなことが考えられるでしょうか?

上に上げたトピと上記文献でも論議されていますが、溶媒のpHによってかなり振れます。
あくまでも目安であって、Molecular Cloningなどにも、ratioが低いときは明らかに純度が低いと判断していいけれど、高いからといって必ずしも純度が高いとは言えない(ratio が高くても必ずしも夾雑物がないとはいえない)というようなことが書いてありました。ratioが低いことで確実に純度が低いサンプルを知るためであって、高いほうは判断しない、できないというようなものだと思います(260 nmに吸光のある夾雑物があるためだとすると、定量自体がover-estimateになって困りますが)。

核酸の吸光度から精製度の判断 A260/280が高いとき 削除/引用
No.2012-1 - 2008/09/25 (木) 10:49:55 - たなたけ
核酸の吸光度についての質問です。

A260/280について、ピュアなDNAは1.8程度、RNAは2.0程度なんていわれていますがどういう理屈なのでしょうか?理論的なものなのでしょうか?それとも経験的なものなのでしょうか?

値が低ければ疎水系アミノ酸によるA280の増大でA260/280が低下することはわかりますが、A260/280が例えば2.2など高い場合はどのようなことが考えられるでしょうか?

参考になるwebサイトや文献などでも結構ですので宜しくご教授願います。

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