まったく驚くべきことではありません。おおざっぱにいえば、
PCR産物が検出できるのが、一部を泳動してEtBrでみるとして1ugとしましょう。30サイクルまわすとして、10^9倍増幅されるとすると、鋳型が1 fgあればそのレベルで検出できることになります。
それに対して、ハイブリで検出できる限界は1 pgくらいです。それだけで検出限界が1000倍ちがいます。
実際は、PCRではもっと厳しい条件でも検出レベルに達するでしょう。しかし、ハイブリで1 pgを検出するのは、そのRNAだけ精製してブロットするなどのように、非常に条件がよくての話です。たとえば、含有量が少ないターゲットを検出可能な1 pg乗せるために、ブロットするRNAの量を増やして10 ug乗せなければならないとしましょう。そうすると、大過剰存在するそのほかのRNAの非特異的ハイブリや吸着によるバックグラウンドも高くなるので、 S/Nが低くなり、実質バックグラウンド、ターゲットに対するシグナルが区別できない可能性が高いです(RIでもnon-RIでも、感度やS/Nに関してはほとんど差はありません)。おそらく、ナイロンメンブレンなら、1ドット(3 mm径)で〜40 ug RNAのキャパシティーがありますが、結局、RNAの量を増やしたところで、ドットブロットでは、ある程度のコピー数以上なければS/Nが低すぎて計測が難しいと思います。
そのへんを考え合わせると、実際の検出限界の差は1000倍よりもっと大きいでしょう。 |
|