>その分非特異的な結合も増えるということですね。
塩濃度、温度、formamide濃度など、stringencyでコントロールできるのは、非特異的結合といっても、ミスマッチを含む、ゆるいホモロジーの配列にプローブがハイブリする(いわゆるcross hybridization)ことですね。メンブレン全体、あるいは組織全体がプローブで汚れる、非特異的吸着は別であることに注意してください。
一般的にはハイブリは中性付近でやることが多いです。SSCは塩濃度の調整の役割の他に、pH 7付近のバッファー(クエン酸バッファー)の効果が期待されて使われます。Tris-HClを加えたり、SSCのかわりにSSPE(リン酸バッファー系)が使われることがあるのは、SSCより強い緩衝力を求めるためです。
pHのハイブリ(水素結合)に対する影響ですが、NaOH溶液で二本鎖を解離させる手法がいろいろな場面で使われることから分かるように、pH 11くらいまであげると水素結合がきれます。塩基の水酸基が電離し水素結合が出来なくなるためらしいです。また、とくにRNAはアルカリ条件で(pH 9-10以上で容易に)加水分解してしまうので、ハイブリの条件としては使われません。
酸性条件では、あまりに低いpHは核酸のdepurinationが起こるので、ハイブリには使われません。またpH 4より低くなると、塩基がプロトン化されて、これもまた水素結合が切れます。しかしpH 5くらいの弱酸性だと、核酸は安定で、水素結合は強くなります。RNAプローブを使うISHではハイブリバッファーをpH 5にさげて、ハイブリ温度を中性の時より10-20℃くらい高くする方法もあります。 |
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