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制限酵素で消化したDNA断片の再結合?
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No.1326-TOPIC - 2008/06/13 (金) 02:47:04 - gs86
2種類の制限酵素(NarI+XbaIまたはNarI+XmaI)でpUC19を消化したのち
サブクローニングしたいDNA断片をライゲーションして大腸菌を
形質転換させるという実験をしています。
消化したpUC19はCIP処理ののちQiagenのキットでゲル抽出し、
-20度に保存しました。
これを解凍冷凍を繰り返して少しずつ実験に使用しているのですが、
最近、形質転換後にミニプレップをすると、本来のベクターのバンド位置の
ちょうど2倍、3倍、4倍の大きさの辺りにバンドを持つクローンが
見られるようになってきました。
ちょっと横着をして制限酵素で消化せずにバンドの大きさをチェックしているのですが、本来のベクターのバンド位置は未消化のpUC19を流して同じ位置であることは確認済みですし、サブクローニングしたいDNA断片は10kb以上です。さらにサブクローニング目的のDNA断片内に設定したプライマーでPCRをしても増幅されないので、これらのバンドは消化されなかったpUC19(の2量体、3量体?言葉が適切かどうかわかりませんが)を見ているのだと思うのです。
消化されたDNAが保存中に相補的な数塩基によって再結合し、しかもそれが大腸菌の中で増えたりするのでしょうか。
もしそうだとすると、保存してある消化済みpUC19は捨てたほうが良いのか、もういちど消化したらいいのか、あるいは90度くらいに熱してやればまた使えるようになるでしょうか。
(10kb以上もの大きい断片を入れることにかなり困難があることはこのフォーラムなどでも読んでおり重々承知です。。。)
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(無題)
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No.1326-14 - 2008/07/21 (月) 14:58:31 - 通りすがり
どうもそれてばかりですみません。APさん、ありがとうございました。接着末端のことだったわけですね、確かにそれはありそうです。失礼しました。
(無題)
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No.1326-13 - 2008/07/20 (日) 10:49:22 - AP
>こういう場合に、DNAの末端で水素結合するということを示した論文か何かあれば、教えていただけないでしょうか?
論文というほどのものはないですが、おおよそ14塩基未満のヌクレオチド鎖の場合、AT対を2℃、GC対を4℃として積算したのが、50 mM 一価陽イオン存在下のTmに相当すると言われています。
一塩基対あたり平均3℃として、Mのバッファーで制限酵素消化したとすると、4塩基の付着末端は12℃のTmをもつことになります。この消化液をそのまま冷蔵保存すると、十分に水素結合をを生じることになります。室温程度で解離するTmですが、冷蔵期間や室温に戻してからのタイミングなどでしょうか、泳動してみるとたまにそういう現象に出くわすことがありますね(ラボが寒冷地だったからかも)。
lambda DNAのcos末端は12塩基の付着末端なので同様に考えるとTm 36℃で、室温でも安定ということになりますが、
(無題)
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No.1326-12 - 2008/07/19 (土) 21:09:38 - 通りすがり
少しずれます、ごめんなさい。下でAPさんが書いておられる、低温においておくと非酵素的にDNA断片がつながってしまう、このために加熱して使うといいというのは、私も経験的にはしっていましたが(不思議に思っていました)、これは、低温というよりは、凍結ー融解によるのではないですか?4度ではあまりそういう非酵素的結合は起こらないような印象があります。それで、私はこれは凍結ー融解に伴うDNAに結合している水分子が、水構造の変化によって押し出されたりしてDNA同士が非特異的に凝集するのかなと思っていました。こういう場合に、DNAの末端で水素結合するということを示した論文か何かあれば、教えていただけないでしょうか?
困っています
削除/引用
No.1326-11 - 2008/07/19 (土) 18:12:18 -
kenkyuu
@λDNAを組み込んだpUC19プラスミドをコンピテントセルに組み込み、X-galプレートで培養したところ、以下のように青コロニーと白コロニーができました。(制限酵素はプラスミド、λともにHindVを用いました。)
プレート1 CIAP未処理のベクター 青79 白0
プレート2 CIAP未処理のベクターとλDNAの混合物 青103 白6
プレート3 CIAP処理済のベクター 青17 白19
プレート4 CIAP処理済のベクターとλDNAの混合物 青20 白72
プレート5 ライゲーション反応とCIAP未処理HindV消化pUC19 青77 白120
白コロニー→β‐ガラクトシダーゼ活性がなくなった大腸菌→pUC19にλDNAが組み込まれた大腸菌であることは理解できました。
しかし、実験補足で「λDNAの塩基対数が3の倍数ならば、たとえλDNAが組み込まれてもβ‐ガラクトシダーゼ活性をしめす」とありました。
これは、3の倍数の塩基数であれば、フレームシフト変異がおこってβ‐ガラクトシダーゼが作られるということでしょうか。
また、LacZ遺伝子はα相補性をもち、αレセプターとαドナーがばらばらでも二つそろえばβ‐ガラクトシダーゼを作れるとも聞きましたがこれも関係しているのでしょうか。
後、プレート2、3、5では白が0でないのはなぜですか。
AλDNAをHindVで1時間消化したものと1晩消化したものを2つ用意し、EtBrで染色しアガロース電気泳動しました。結果、1時間消化のものは6つ、1晩消化のものは5つバンドが出ました。
1晩消化の方が制限酵素が働き、本来バンド数はふえるとおもうのですが、なぜ1晩消化のものが1つバンドが消えたのでしょうか。尚、消えたバンドは4361bp、λDNAの一番端でした。
(無題)
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No.1326-10 - 2008/06/13 (金) 11:34:32 - gs86
皆さんありがとうございます。
私なりに要約すると、
未消化のプラスミドが大腸菌内でオリゴマー化したものを見ている可能性が高いのではないか。消化されたものが「N---X:X---N:.... のように」つながってもよさそうなものだが、経験上このようなプラスミドは見られない。
確認するにはEcoRIで切ってみるのはどうだろうか、ということですね。(catenaneについて詳しくないのですが、リニアにするとオリゴマーがばらばらになるという解釈でよろしいでしょうか。)EcoRIで切ってみるのはすぐには難しいのですが、興味深いのでいずれやってみようと思います。また、培養条件は菌株、培地、温度、時間、、、特にこれといって変化したところはなかったと思います。。。
また、スクリーニング目的でプラスミドを切らずに流している方がほかにもいらしゃること、保存後の制限酵素断片を60度に温めてから使うこと、など、大変勉強になりました。
引き続きご意見ありましたら、お願いします。
(無題)
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No.1326-9 - 2008/06/13 (金) 10:42:45 - T
それは本当に再会合したものですか?
NarI-XbaI, NarI-XmaI で調整したフラグメントが会合したものなら、その間にあるサイト、例えば EcoRI では切れない筈ですがいかがでしょうか?私の予想では EcoRI で切ると約 2.5kb のバンド1本になりそうな気がしますが。
切れ残りの環状 pUC が AP さんの言うように培養過程でオリゴマーを形成したというのが一番ありそうに思います。
(無題)
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No.1326-8 - 2008/06/13 (金) 09:32:50 - AP
同じベクターを使っていて、最近になってからオリゴマーが現れたということから、長期保存の影響にとらわれて可能性を考えてみましたが、そうでなくても大腸菌でプラスミドがオリゴマー化するというのは、しばしばあることでしたね。
宿主内でプラスミドのコピー数が多くなりすぎたりすると、プラスミドの環が五輪マークのようにつながっていくという(catenaneでしたっけ)。
ベクターの長期保存の問題ではなくて、培養条件などが前とはなにか違っているのかもしれません。
(無題)
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No.1326-7 - 2008/06/13 (金) 09:11:49 -
おお
>[Re:4] gs86さんは書きました :
> おおさん、早速ありがとうございます。
> そうですか、やはり横着はいけませんね。
>
> でもこの機会にあえてお聞きしたいのですが、スーパーコイル状のプラスミドは一般的にゲルの中をリニア状のものよりはやく進んでいくものだと思ってました。
プラスミドを抽出するとたいていの場合はそうですが、そうでない場合もあるので判断がつきにくくなる事があると思います。1度5kbpsぐらいのプラスミドに10kbpsのインサートをいれたプラスミドをセシクロ超遠心でスーパーコイルを調製したところ、非常にスメアーなバンドが現れたことがあります。ですから、スーパーコイルのバンドはサイズでなく、予想のできないところに来ると思うのがいいかと思います。
>
> そして最後に当初の質問ですが、
> 「消化されたプラスミドDNAが保存中に相補的な数塩基によって再結合し、しかもそれが大腸菌の中で増えたりする」ことってあるんでしょうか。
> バカな質問でしたらごめんなさい。
まず、相補的な配列があれば、会合する可能性はあります。保存中というかこれはライゲーションのあいだとかいつでも起こり得ます。これがライゲーションされ2つのプラスミドが融合したようなものが大腸菌に入ることはあると思います。或いは会合した状態で大腸菌に入りそれが大腸菌内でつなげられるような場合もあるかもしれません。
ただし、経験的にこういうふうに融合されたプラスミドには出くわしませんので、何かの原因で大腸菌内で増えるのが難しいのではないかとおもいます。例えば同じレプリコンを2つ持つプラスミドは複製されないという人もいますが、この辺については専門外でわかりません(確かここで大昔に議論されていたように思えますが思い出せません)。
(無題)
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No.1326-6 - 2008/06/13 (金) 09:05:10 - AP
付着末端をもつ制限酵素断片を低温で長期保存すると、末端同士が水素結合でくっつくことがあります。lambda DNAのcos末端(12 baseの付着末端)でよく経験すると思いますが、条件によっては制限酵素断片の数 bpくらいでも起こります。制限酵素処理して長期保存したプラスミドを泳動してみると、オリゴマーと思われるラダーが観察されることがあります。
CIAP処理をしているのでligationは起こらないはずですが、水素結合で環状化、オリゴマー化した(N---X:X---N:.... のように)したベクターが解離せず宿主に入り宿主の修復系で完全なプラスミドになったというのは考えられないでしょうか。
凍結保存、氷上で融解、低温でligation(PEGが入っていればなおさら)の繰り返しだと、短い付着末端でも水素結合が解離せずに残る可能性はあると思います。私は保存した制限酵素断片を使うときは、いったん60℃くらいに温めて水素結合を解離させてから使うようにしています。
制限酵素消化していないプラスミドを泳動するというのは、必ずしも悪くないと思います。そのために、supercoiled DNA ladder markerなんていうものも販売されているくらいですし。スクリーニングする数が多いときなど、切らずに流して候補を絞ってから制限酵素消化して分析したりします。
わたしは、cccの移動度は同じサイズのlinearのおおよそ2倍と見当をつけています。ただし、cccをEtBr存在下で泳動するとEtBrの濃度によって、linearマーカーとの相対移動度がずいぶん変わるので、再現性に注意が必要だと思います(わたしはEtBr抜きで泳動しています)。
(無題)
削除/引用
No.1326-5 - 2008/06/13 (金) 08:11:34 - とう
>スーパーコイル状のプラスミドは一般的にゲルの中をリニア状のものよりはやく進んでいくものだと思ってました。
ですから、pUC19のみの約2.5kbよりも大きいところにバンドが出ればインサートが入っている可能性があるのかなぁと思ってやってました。
digestonしないplasmidをagarose gelで流した場合、本来の長さの位置に出ないバンドが現れます。そのバンドの大きさは、元々のバンドの位置より大きいものと小さいもの両方出る可能性があり、出てきたバンドの意味を解釈する事はできません。
digestionしないでinsertの有無を判断する事は、基本的に常識的でないと思えます。
(無題)
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No.1326-4 - 2008/06/13 (金) 06:46:06 - gs86
おおさん、早速ありがとうございます。
そうですか、やはり横着はいけませんね。
でもこの機会にあえてお聞きしたいのですが、スーパーコイル状のプラスミドは一般的にゲルの中をリニア状のものよりはやく進んでいくものだと思ってました。
ですから、pUC19のみの約2.5kbよりも大きいところにバンドが出ればインサートが入っている可能性があるのかなぁと思ってやってました。
これは間違っていますか。
いずれにしても10kb以上のインサートが入っていてもスーパーコイル状になった時に2.5kbよりも下にバンドが出る可能性がゼロではないということであれば、この方法ではいけませんね。
そして最後に当初の質問ですが、
「消化されたプラスミドDNAが保存中に相補的な数塩基によって再結合し、しかもそれが大腸菌の中で増えたりする」ことってあるんでしょうか。
バカな質問でしたらごめんなさい。
(無題)
削除/引用
No.1326-3 - 2008/06/13 (金) 03:44:00 -
おお
> (10kb以上もの大きい断片を入れることにかなり困難があることはこのフォーラムなどでも読んでおり重々承知です。。。)
慎重にやれば、意外と簡単に入ります。コントロールを取りながら、系が十分にワークしているかを見ながらやればまず入ると思います。
(無題)
削除/引用
No.1326-2 - 2008/06/13 (金) 03:16:37 -
おお
制限酵素で切ってない(インタクトな)環状プラスミドは、そのサイズを反映せず、スーパーコイルの巻数や分子的な構造の違いによりマルチプルなバンドが電気えいどうで現れることがあります。でそのサイズは予想できないところに来ます
ですから、適切な制限酵素で切ってから、インサートの有無、サイズを判断する事をお薦めします。
制限酵素で消化したDNA断片の再結合?
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No.1326-1 - 2008/06/13 (金) 02:47:04 - gs86
2種類の制限酵素(NarI+XbaIまたはNarI+XmaI)でpUC19を消化したのち
サブクローニングしたいDNA断片をライゲーションして大腸菌を
形質転換させるという実験をしています。
消化したpUC19はCIP処理ののちQiagenのキットでゲル抽出し、
-20度に保存しました。
これを解凍冷凍を繰り返して少しずつ実験に使用しているのですが、
最近、形質転換後にミニプレップをすると、本来のベクターのバンド位置の
ちょうど2倍、3倍、4倍の大きさの辺りにバンドを持つクローンが
見られるようになってきました。
ちょっと横着をして制限酵素で消化せずにバンドの大きさをチェックしているのですが、本来のベクターのバンド位置は未消化のpUC19を流して同じ位置であることは確認済みですし、サブクローニングしたいDNA断片は10kb以上です。さらにサブクローニング目的のDNA断片内に設定したプライマーでPCRをしても増幅されないので、これらのバンドは消化されなかったpUC19(の2量体、3量体?言葉が適切かどうかわかりませんが)を見ているのだと思うのです。
消化されたDNAが保存中に相補的な数塩基によって再結合し、しかもそれが大腸菌の中で増えたりするのでしょうか。
もしそうだとすると、保存してある消化済みpUC19は捨てたほうが良いのか、もういちど消化したらいいのか、あるいは90度くらいに熱してやればまた使えるようになるでしょうか。
(10kb以上もの大きい断片を入れることにかなり困難があることはこのフォーラムなどでも読んでおり重々承知です。。。)
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