actinやGAPDHは細胞内タンパク質に多く存在するタンパク質です。
actinは線維タンパク質であり、その他のタンパク質や小器官の保持に関与しています。
一方、GAPDHは糖からエネルギーを作る解糖系に関わる主要なタンパク質です。
一般に、これらのタンパク質は細胞に刺激やストレスを与えても比較的変動しにくいとされています。
そのため、ハウスキーピングタンパク質と呼ばれ、細胞刺激などによって変動するその他のタンパク質との対照として、補正目的で扱われることが多いです。
しかしながら、ハウスキーピングタンパク質もある条件下では、大きく発現量が変動してしまうため注意が必要です。
例えば、actinは細胞自殺(アポトーシス)を引き起こすような刺激では、その発現量が大きく減少してしまいます。これは、アポトーシスに関わるタンパク質(caspaseなど)によって、分解されてしまうからです。
また、GAPDHの場合、細胞が低酸素に陥るような刺激に対して発現量が著しく増加してしまいます。これはこのGAPDHがHIF-1という転写因子の制御下タンパク質であるためです。HIF-1は低酸素や鉄イオンの減少などにより、これが制御しているタンパク質の発現を増加させます。
つまり、自分の実験に適したハウスキーピングタンパク質を選択しないと補正目的では使用できませんね。 |
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