ちなみに、最初の論文の 14% という数値そのものはあまり参考にはなりません。というのは、この時のターゲッティングベクターには neo マーカーも乗っていないので、通常のノックアウトで行うように実際に G418 耐性コロニーをスクリーニングして出した数字ではないからです。
(1)ES 細胞にターゲッティングベクターをエレポすると、10^6 個に 1.4 個の割合で HPRT 遺伝子座で相同組み換えが起きて HAT 耐性のコロニーが出た。
(2)同じ条件で pSV2Neo をエレポすると、10^5 個に1個の割合で G418 耐性コロニーが出た。
という実験結果から算出した、あくまで計算上の数字です。当然、数倍程度の誤差はあり得ます。ただ、2桁も3桁も違うということは考えにくいでしょう。
negative selection による陽性クローンの濃縮効果はおよそ数倍から10倍と言われています。例えば、DT-A を用いた最初の報告では約10倍効率が上昇したと報告されています。
Homologous recombination at c-fyn locus of mouse embryonic stem cells with use of diphtheria toxin A-fragment gene in negative selection
Proc. Nati. Acad. Sci. USA 87, 9918-9922 (1990) |
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