問題が解決したので、同様の問題を抱えて掲示板を利用される方のために、僭越ながら今回の解決のポイントを記しておきます。(ほとんど過去に多数ご指摘されていることと同様だとは思いますが)
私の問題点は、クオリティの高いベクター断片とインサートDNAの調製ができているか、という点でした。
インサートのほうはプラスミドからの切り出しでしたので、制限酵素による切断効率は問題ではなく(電気泳動により、未消化プラスミドと十分分離可能であったため)、クオリティはクリアできていると考えられました。
問題はベクターの方でした。最初は、典型的な失敗例にもれず、UV照射を十分行ったため、まったくコロニーがでてきませんでした。この掲示板でUV照射の影響を知り、改善したところ、逆に空ベクターのコロニーが多数でてきました。改めてライゲーションなし、あるいはインサートなしのコントロールをとってみたところ、ライゲーションなしでも数十個のコロニーが出現し、ライゲーションありでは多数のコロニーが出現したことから、若干の未消化ベクターの混入と、一箇所切断ベクターのセルフライゲーションが多数起こっていることがわかりました。そこで、
1.ベクターの消化をオーバーナイトで行う
2.電気泳動での分離能をあげるために、容量的に2レーンで十分流せたところをあえて6レーン使用し、長めに泳動し、少々ロスしても目的のバンドの上下が入らないように切り出す
3.BAP処理を行う
という方法で行いました。その結果、ライゲーションなし、インサートなしでは10個程度のコロニー(それでも0.01pmol以下のベクターのトランスフォーメーションでこれぐらいは出現する)が出たのに対し、インサートありで数百個のコロニーを得ることができました。きちんとコントロールをおいていたので、コロニーPCRによるチェックをする必要もなく、自信をもって即プラスミド回収、制限酵素切断によるチェックに向かうことができました。
ベクターの調製において、私が書いた程度まで気を遣うこともないのかもしれませんが、経験のない私の実感として、ポイントはクオリティの高いベクターの調製に集約されると感じました。
何かの参考になれば幸いです。 |
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