>論文中にたとえば「Aのデータ-の解析ではtテストを用いたBの解析にはUテストを用いた.」問いうふうに注釈をつければ1枚のペーパー中で2つの2者間検定法を用いてもよいものなのでしょうか。
このような例はあります。ただし、検定方法が(あるいは、検定方法の決め方が)予め決まっていることが大事です。「データを見た後で、有意になりやすい検定方法を選んだ(後知恵とよばれます)」のでは、正しい検定とはいえないからです。
えらいざーさんが、「Nが少なくてt検定でないと有意差がでなかったデータはt検定、Nが多くてWilcoxonの順位和検定でないと有意差が出なかったデータはWilcoxonの順位和検定」にしたい、ということですと、「後知恵」といわれても仕方がないのです。
とはいえ、実験者が統計に詳しくないために間違った検定をしてしまうことはよくあることで、それを後から訂正したからといって「後知恵」といわれても困りますよね。
あらかじめ検定方法の決め方を決めておく、という方法は、多群の実験の場合に、等分散性の検定を行い、等分散ならパラメトリック検定、不等分散ならノンパラメトリック検定を行う例が良く見られます。不等分散になっている原因が外れ値にある場合、ノンパラメトリック検定の方が有意差が得られやすいことがあります。(ただ、本当は不等分散でノンパラメトリックというのは間違いなので異論もあるのですが、不等分散用の多重比較検定が一般的でないので、この手法はよく使われます。)
ところで、2群の場合ですと、正規分布の場合は不等分散に対応する検定方法が一般的に使われています。
1)正規分布&等分散→t検定
2)正規分布&不等分散→Welch検定
3)非正規分布→Wilcoxonの順位和検定
もし、Welch検定を試していないのでしたら、等分散性の検定(F検定)後、等分散のものはt検定、不等分散の場合はWelch検定で検定してみてください。論文にはその通り記載して問題ありません。
後は、正規性の検定をしてt検定とWilcoxonの順位和検定を分ける方法もあるかもしれませんが、n=3で正規性の検定をしても意味がなさそうな気がします…。想像では、えらいざーさんのデータはWilcoxonの順位和検定の方が良さそうですので、その場合はn=3でWilcoxonの順位和検定で有意差が得られないのは例数不足による検出力不足、と考えるのが自然な気がします。
あと、
>だめならSDではなくSEMで統計をとろうかと考えています。
S.D.の代わりにS.E.M.で統計をとるという意味がわかりませんが、もし、お使いのソフトが平均値とS.D.を入力して検定するようになっていて、S.D.の代わりにS.E.M.を使おうとされているのでしたら、それは間違いです。
グラフ表記をS.E.M.にすればエラーバーが小さくなって見えますが、それだけのことです。検定結果はデータのばらつきと誤差の大きさを比べるもので、データの分散の代わりにS.E.M.を持ってくることはできません。 |
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