ISHは組織中に発現する、ある特定の遺伝子のmRNAを組織上で検出する方法で、IHCはある特定のたんぱく質の局在を組織上で検出する方法です。ISHでは、どの細胞に目的の遺伝子が発現しているかを知ることができますが、翻訳された後のたんぱく質(機能分子)の局在を知るためにはIHCを行う必要があります。例えば、脳内の神経細胞で、ある神経核にmRNAが発現することをISHによって確認できたとしても、そのmRNAから翻訳された蛋白質が必ずしもその神経核で機能しているとは限りません。なぜなら、作られた蛋白質が軸索を伝って、投射先の別の神経核に運ばれているかもしれないからです。また、mRNAが発現していても、必ず蛋白質が産生されているとは限りません。したがって、IHCの方がよりconvincingな情報を与えてくれるということになります。しかし、IHCを行うには特異性の優れた信頼性の高い抗体を得る必要があり、その点で時間と労力を必要とする場合が多いのですが、ISHは特異性の高い塩基配列をデータベース上で検索でき、比較的簡便に信頼性の高いプローブを得ることができるので、mRNAの発現が分かれば十分というような状況でよく用いられます。 |
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