ねずみさんありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。ただ
>投稿を拝見しましたが、EDTAでの抗原賦活化処理に関しておっしゃっていることのイメージがいまいち湧きません。
とのことですので、多分私の説明不足だと思います。ご紹介いただいた方法を例に私の妄想をご説明いたします。
仮にラボメイドのペプチドポリクローナル抗体を使った場合です。目的は過去のパラフィン包埋された病理検体で、投与薬剤に対する癌細胞の当該蛋白の発現を見ることにします。この抗体は蛋白Aに対する抗体ですが、別の蛋白B、Cもエピトープがペプチド配列中あり、この抗体と特異的に反応します。しかし発現量で蛋白Aが他の二つより多いため、蛋白Aの発現量に露光時間を合わせたウエスタンでは蛋白B、Cは検出圏外になってしまい、蛋白A特異的抗体との¥印象を与えました。In situ ハイブリの結果は感度の問題で満足に得られませんでしたが、病理組織をスライドからかきとり、RT-PCRで増幅したところ組織中にmRNAの存在は確認できました。この抗体を免染に使ったところ薬剤に対する反応は認められませんでした。実は蛋白Aのこの抗体への結合部位はホルマリン架橋の影響を受けやすく、免疫賦活にも応答しないため免疫染色で見ていたのは蛋白Bだったのですが、染色が特異的箇所に見られたため、このことに気づかず論文を雑誌に投稿しました。しかし別グループが自ら作成した抗体で全く反対の結果を出し、追試した結果自分の論文の間違いに気づいたため論文を取り下げる結果となりました。
つまりウエスタンで見えなかったエクストラバンドが、病理組織ではホルマリンの影響で目的蛋白が架橋されたことで相対的に強まり、誤った染色像を示してしまうのではないかと心配しています。もしこの影響をウエスタンで再現できれば、目的バンドが消える事で間違いに気づくことができるのではないかと考え、質問した次第です。自分の数少ない経験ではウエスタン>培養細胞染色>凍結切片染色>パラフィン包埋切片染色の順に抗体に結合できる抗原の種類は減少している気がします。もっともたまに、ウエスタンではエクストラバンドが出る抗体が、ウエスタンでシングルバンドが出る抗体と全く同じような染色像を示したのを見たことがあります。これはエクストラバンドの抗原の方がホルマリン架橋の影響を受けやすかったためなのかと推測しています。
長々と妄想を書いて申し訳ありませんが、前から気になっていたことなので書かせていただきました。何かしら、ご意見をいただければ幸いです。 |
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