実験してみました。
pBlueScriptII (ColE1 ori, Amp耐性)とpCMV-Tag3A(ColE1 ori, Kan耐性)を10ngずつ混合し、定法通りにXL2-blue にトランスフォームしました。その100分の1量をプレートに蒔いて出現したコロニー数は、
Amp plate 276
Kan plate 220
Amp+Kan plate 153
でした。Amp 耐性あるいは Kan耐性のコロニーを形成する大腸菌のうち、かなりの割合のものはトランスフォームの時点では Amp, Kan 両方に耐性であったと推定できます。
次に、Amp plate から10個のコロニーを拾って Kan plate に引き直してみたところ、3個でコロニーが出現しました。
さらに、同じ Amp plate から4個のコロニー(うち1個はKan plate でコロニー出現したもの)を拾ってミニプレップしたところ、Kan でコロニーが出なかった3個は pBlueScript の1本のバンド、Kan でコロニーが出た1個については pBlueScript と pCMV-Tag と思われる2本のバンドが出ました。
このミニプレップのプラスミドをテンプレートにして、pCMV-Tag 特異的なプライマーで PCR(35サイクル)を行ったところ、4種類の全てで pCMV-Tag 由来と思われるバンドが出ました。Amp コロニーを再度 Amp plate に引き直し、シングルコロニーを拾ったプラスミドではバンドは出ませんでした。
まとめると、少なくとも今回の条件では、
・トランスフォームの際に1個の大腸菌に複数のプラスミドが入る
・この大腸菌がコロニーを形成した場合、多くは1種類のプラスミドがドミナントとなる
・しかし、もう一方のプラスミドも少量存在している
・再度シングルコロニー化すると、完全に一種類のプラスミドになるため、最初のコロニー中の個々の大腸菌の多くは一種類のプラスミドのみを保持していると考えられる
・以上から、最初のコロニーは2種類のプラスミドを持つ菌のモザイク状態である可能性が高い
ということで、
> 2つプラスミドの入ったコロニーがとれないのは本当?
に対する答えは「ウソ」です。 |
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